クリスマス・ダンスパーティー
概要
クリスマス・ダンスパーティー (Yule Ball) は、伝説的な魔法学校対抗試合である三校対抗試合の開催期間中に開かれる、伝統的かつ正式な舞踏会です。この舞踏会の目的は、参加校間の国際的な友好関係を育むことにあります。物語においては、1994年12月25日の夜にホグワーツ魔法魔術学校の大広間で開催され、登場人物たちの思春期における人間関係や感情の機微を浮き彫りにする重要な舞台となりました。
伝統と規則
この舞踏会には、三校対抗試合の長い歴史に根差した、いくつかの伝統と規則が存在します。
- 参加資格: 開催校の4年生以上の生徒に参加資格が与えられます。4年生未満の生徒であっても、上級生からパートナーとして招待されれば参加が可能です。
- 開会のダンス: 舞踏会は、各校の三校対抗試合の代表選手たちが、それぞれ選んだパートナーと共にワルツを踊る「勇者のダンス (Champions' Waltz)」によって幕を開けるのが慣わしです。
- 服装: 参加者は、正装である礼服ローブの着用が義務付けられます。
1994年のダンスパーティー
ハリー・ポッターが4年生の時に開催されたダンスパーティーは、多くの重要な出来事の舞台となりました。
- 準備期間: ダンスパーティーの告知は、生徒たちの間でパートナー探しを巡る大きな混乱と興奮を巻き起こしました。ハリー・ポッターは想いを寄せるチョウ・チャンを誘いますが、既にセドリック・ディゴリーのパートナーとなることが決まっていたため断られます。最終的にハリーはパーバティ・パチルを、ロン・ウィーズリーはパドマ・パチルをパートナーとしました。一方で、ハーマイオニー・グレンジャーが、世界的に有名なクィディッチ選手であるダームストラング専門学校代表のビクトール・クラムのパートナーとして現れたことは、多くの生徒、特にロンに大きな衝撃を与えました。
- 会場と音楽: 大広間は、壁一面にきらめく銀の霜が降り、天井には無数の星々ときらびやかな氷柱が飾られました。普段の寮ごとの長テーブルは撤去され、ランタンが灯る小さな円卓が多数配置されました。音楽は、魔法界で絶大な人気を誇るロックバンド「ウィザーディング・シスターズ」が生演奏を披露しました。
- 主な出来事:
- ハーマイオニー・グレンジャーとビクトール・クラムの親密な様子に嫉妬したロン・ウィーズリーは、ハーマイオニーと激しい口論になり、二人の夜を台無しにしてしまいます。これは、二人の関係性における重要な転換点となりました。
主な参加者とパートナー (1994年)
物語における役割
クリスマス・ダンスパーティーは、単なる華やかなイベントではなく、物語の複数の側面を掘り下げる上で重要な役割を果たしました。
- キャラクターの成長: 主要な登場人物たちが、友情、恋愛、嫉妬といった思春期特有の複雑な感情に直面し、精神的に成長する姿が描かれました。特に、ロン・ウィーズリーとハーマイオニー・グレンジャーの関係は、この出来事を通じて大きな進展を見せます。
- 魔法界の文化: ウィザーディング・シスターズの存在や、魔法界における社交の慣習など、読者に魔法界の文化的な側面を垣間見せる機会となりました。
幕後情報
- バンド名: バンド「ウィザーディング・シスターズ (The Weird Sisters)」の名前は、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『マクベス』に登場する3人の魔女 (The Weird Sisters) への言及です。(Pottermore)
- 映画版での描写: 映画『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』では、ダンスパーティーの場面がより視覚的に華やかに描かれました。特に、ミネルバ・マクゴナガルがグリフィンドールの男子生徒にダンスを指導するシーンは、原作にはない映画オリジナルのユーモラスな追加要素です。また、ウィザーディング・シスターズのメンバーとして、実在のバンド「レディオヘッド」や「パルプ」のメンバーが出演しました。(映画設定)