ビーター (Beater)
概要
ビーター (Beater) は、魔法界の人気スポーツである クィディッチ における7人の選手のうちの一つのポジションです。各チームに2名配置され、その主な役割は、味方の選手を危険なボールである ブラッジャー から守り、同時にそのブラッジャーを棍棒で打ち返して相手チームの選手を攻撃することにあります。このポジションは、チームの防御と攻撃の両面において極めて重要な役割を担います。
役割と目的
ビーターの任務は多岐にわたりますが、主に以下の3つに集約されます。
- 戦略的コントロール (Strategic Control): 2つの ブラッジャー の動きを常に把握し、その軌道をコントロールすることで、試合のペースと流れを自チームに有利な方向へ導きます。優れたビーターは、フィールド全体を支配する戦術的な視野を持っています。
必要な道具
- 箒 (Broomstick): 他の選手と同様、高速で飛行するための 箒 が必要不可欠です。ビーターは急加速、急停止、急旋回を多用するため、特に機動性に優れた箒が求められます。
求められる資質と戦術
ビーターには、他のポジションとは異なる特殊なスキルセットが要求されます。
- 強靭な肉体: 重い ブラッジャー を力強く打ち返し、長時間にわたる試合を戦い抜くための腕力とスタミナ。
- 優れた飛行技術: 複雑な軌道で飛ぶ ブラッジャー を追いかけ、不安定な体勢からでも正確な打撃を行うための高度な飛行能力。
- 正確な狙い: 高速で動き回る相手選手をピンポイントで狙って ブラッジャー を打ち込む精密なコントロール。
- チームワーク: もう一人のビーターとの連携プレーが極めて重要です。フレッド・ウィーズリー と ジョージ・ウィーズリー の兄弟が見せたような、言葉を交わさずとも互いの動きを予測しあう阿吽の呼吸が理想とされます。
- 専門的な戦術: ブラッジャー・バックビート (相手の意表を突くバックハンドでの打撃) や ドッブルビーター・ディフェンス (2人のビーターが同時にブラッジャーを打つことで威力を倍増させる) といった専門的な打法が存在します。(『クィディッチ今昔』)
物語に登場する著名なビーター
- グリフィンドール寮 (Gryffindor House)
- アンドリュー・カーク (ドローレス・アンブリッジによりウィーズリー兄弟が活動禁止になった後の交代選手)
- ジャック・スローパー (同上)
- リッチー・クート (同上)
- スリザリン寮 (Slytherin House)
- プロ選手 (Professional Players)
- ルード・バグマン (元ウィンボーン・ワスプス所属、元イングランド代表)
物語における役割
ビーターの存在は、クィディッチ の試合の描写において、スリルと危険性を高める重要な要素です。特に、2巻『ハリー・ポッターと秘密の部屋』で 屋敷しもべ妖精 の ドビー が魔法をかけた ブラッジャー が執拗に ハリー・ポッター を狙う場面では、ビーター(フレッドとジョージ)の奮闘が描かれ、その重要性が強調されました。 また、5巻『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』でウィーズリー兄弟がチームを離脱した後、グリフィンドールチームがスリザリンチームに惨敗したことは、優れたビーターの不在がいかにチームの戦力に致命的な影響を与えるかを明確に示しています。彼らは単なる守備選手ではなく、チームの勝利に不可欠なゲームメーカーなのです。