老いの杖
基本情報
- 所有者 (Owners): アンティオク・ペベレル、邪悪のエメリック、エグバート、ゴデロット、ヘレワード、バーナバス・デベリル、ロクシアス、ミューケウ・グレゴロビッチ、ゲラート・グリンデルバルド、アルバス・ダンブルドア、ドラコ・マルフォイ、ハリー・ポッター (最後の真の所有者)。ヴォルデモート卿も一時的に所持したが、真の所有者にはならなかった。
記述と外観
ニワトコの木でできており、長さは15インチ。杖の芯は、所有者に死の訪れを告げる生物であるセストラルの尻尾の毛である。杖の表面には、ニワトコの実の房に似た節くれだった彫刻が施されている。その強力さゆえに、歴史上多くの魔法使いがこの杖を識別し、追い求めてきた。
魔法の特性と用途
歴史
この杖の歴史は「血塗られた軌跡」として知られ、所有権を巡る数多の殺戮に彩られている。
- 起源: 吟遊詩人ビードルの物語に含まれる「三人兄弟の物語」によれば、ペベレル三兄弟の長兄アンティオク・ペベレルが、旅の途中で出会った死神から与えられたとされる。アンティオクはすぐにその力を誇示したが、眠っている間に喉を切られて杖を奪われ、杖の歴史における最初の犠牲者となった。
- 中世から近代へ: その後、杖は邪悪のエメリックやエグバートといった、歴史上の強力だが残忍な魔法使いたちの手に渡り、所有者が代わるたびに血なまぐさい逸話が残された。杖は「死の杖 (The Deathstick)」や「宿命の杖 (The Wand of Destiny)」といった異名で呼ばれるようになった。
- グレゴロビッチとグリンデルバルド: 20世紀初頭、著名な杖作りであるミューケウ・グレゴロビッチが杖を所有し、その力の秘密を解き明かそうとしていた。しかし、若き日のゲラート・グリンデルバルドが彼の工房から杖を盗み出し、新たな所有者となった。
- ダンブルドアの所有: アルバス・ダンブルドアは、1945年に行われた伝説的な決闘でゲラート・グリンデルバルドを打ち破り、老いの杖の正当な所有者となった。彼は杖の力を破壊するため、自分が誰にも敗れることなく自然死する計画を立てていた。
物語における役割
『ハリー・ポッターと死の秘宝』において、物語の中核をなす魔法アイテムであり、死の秘宝の一つとして登場する。 ヴォルデモート卿が究極の力を求めてこの杖を追い求める過程は、物語の主要な筋書きの一つとなっている。杖の特異な忠誠心のルールは、ホグワーツの戦いにおける最終決戦の鍵を握る。老いの杖が真の所有者であるハリー・ポッターを傷つけることを拒んだため、ヴォルデモートが放った死の呪いは彼自身に跳ね返り、その敗北を決定づけた。 この杖は力の誘惑を象徴する存在でもある。ダンブルドアが若き日に「より大きな善のために」その力を求めたのに対し、ハリーは最終的に杖の力を手放すことを選んだ。彼は自身の杖を修復した後、老いの杖をダンブルドアの墓に戻すことで、その血塗られた歴史に終止符を打とうとした。
舞台裏情報
- 杖には「The Deathstick」(死の杖)や「The Wand of Destiny」(宿命の杖)といった複数の異名がある。これらはゼノフィリウス・ラブグッドによって言及されている。
- 映画『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』では、物語の結末が原作と異なり、ハリー・ポッターは老いの杖を真っ二つに折って崖から投げ捨ててしまう。(映画設定)