アルバニア
基本情報
- タイプ (Type): 国
- 地点 (Location): 南東ヨーロッパ
- 所有者 / 住民 (Owner/Residents): ヴォルデモート卿 (亡霊状態での潜伏者)、クィリナス・クィレル (訪問者)、ピーター・ペティグリュー (訪問者)、バーサ・ジョーキンズ (訪問者)、ヘレナ・レイブンクロー (生前の逃亡先)
- 重要特徴 (Key Features): 深く暗い森、魔法使いが身を隠すのに適した人里離れた辺境の地
記述と歴史
アルバニアは、南東ヨーロッパに位置するマグルの国ですが、魔法界の歴史、特にヴォルデモート卿の台頭と復活において極めて重要な役割を果たした場所です。物語の中では、直接的な舞台として描かれることはありませんが、登場人物たちの会話や回想を通じて、その重要性が繰り返し語られます。 この国は、身を隠したい者にとって理想的な場所として認識されていたようです。最も古くは、ホグワーツ魔法魔術学校の創設者の一人であるロウェナ・レイブンクローの娘、ヘレナ・レイブンクロー (灰色の夫人) が、母のレイブンクローの髪飾りを盗んで逃亡した先がアルバニアの森でした。彼女はそこに髪飾りを木のうろに隠しましたが、後に血まみれ男爵によって殺害されました。 数世紀後、1981年に赤子のハリー・ポッターを殺害しようとして失敗し、肉体を失ったヴォルデモート卿が、かろうじて生き延びるための亡霊のような姿で逃げ込んだのもアルバニアの森でした。彼はそこで10年近くもの間、他人の目に触れることなく、ヘビなどの小動物に憑依して生きながらえました。
物語における役割
アルバニアは、ヴォルデモート卿の二度にわたる復活劇の起点となった場所です。
- 第一次復活の試み: 1991年頃、ホグワーツ魔法魔術学校の闇の魔術に対する防衛術の教授職を求めて旅をしていたクィリナス・クィレルが、アルバニアの森で弱体化したヴォルデモート卿に遭遇します。ヴォルデモートはクィレルの肉体に憑依し、賢者の石を狙ってイギリスへ帰還しました。この出来事が『ハリー・ポッターと賢者の石』の物語の核となります。
- 分霊箱の発見: 若き日のトム・マールヴォロ・リドルは、ホグワーツ魔法魔術学校にいた頃、灰色の夫人からレイブンクローの髪飾りの隠し場所を聞き出していました。彼は卒業後アルバニアを訪れ、森の木のうろから髪飾りを発見し、それを自身の分霊箱 (Horcrux) の一つに変えました。この事実は『ハリー・ポッターと死の秘宝』で明らかになります。
- 第二次復活の準備: 1994年、シリウス・ブラックの脱獄を手助けしたことで死を偽装して逃亡したピーター・ペティグリュー (ワームテール) は、かつての主人であるヴォルデモート卿を捜し求め、ついにアルバニアで彼を発見します。ほぼ同時期、休暇でアルバニアを訪れていた魔法省の役人バーサ・ジョーキンズをペティグリューが捕らえ、ヴォルデモートは彼女から三大魔法学校対抗試合の計画と、バーテミウス・クラウチ・ジュニアが生きているという重要な情報を拷問によって引き出しました。この情報が、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』におけるヴォルデモートの完全復活計画の基盤となりました。
このように、アルバニアは物語の直接の舞台ではありませんが、悪の潜伏、再起、そして陰謀の始点として、ハリー・ポッターの物語全体に暗い影を落とす重要な場所です。
既知の区域
- 森 (Forests): 物語で言及されるアルバニアの唯一の具体的な場所。非常に深く、暗く、人里離れていると描写されます。ヴォルデモート卿が潜伏し、レイブンクローの髪飾りが隠されていた場所です。
舞台裏情報
J.K. ローリングがなぜ潜伏先としてアルバニアを選んだのか、その具体的な理由は公式には詳しく語られていません。しかし、イギリスの読者にとって「遠く、馴染みが薄く、どこか神秘的で荒涼とした場所」というイメージが、肉体を失った闇の帝王が隠れ潜むのにふさわしいと考えられた可能性があります。