アンブロシウス・フルーム

アンブロシウス・フルーム (Ambrosius Flume) は、魔法使いの村ホグズミードにある有名な菓子店「ハニーデュークス」の創業者であり、店主です。妻のフルーム夫人と共に店の上にある小さなアパートに住んでいます。物語の中では脇役ではあるものの、ホグワーツの生徒たちにとって最も人気のある場所の一つを経営する人物として、重要な背景を構成しています。

フルームの詳しい経歴については、原作ではほとんど語られていません。 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』で彼の存在が初めて言及されます。ハリー・ポッターが「一眼の魔女」の秘密の通路を通って初めてホグズミードに忍び込んだ際、彼はハニーデュークスの地下室にたどり着きました。そこで、フルーム夫妻が在庫の補充について話し合っているのを耳にします。この時、夫人が品物を店の売り場へ運ぶための昇降機を使っている様子が描かれています。 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』では、ホラス・スラグホーンの回想の中で言及されます。スラグホーンによれば、フルームはかつて彼の誕生日に砂糖漬けパイナップルを贈っていましたが、スラグホーンが紹介したシセロン・ハーキスが、フルームが親戚に与えたいと思っていた仕事を得てしまったため、その習慣をやめてしまったと語られています。

• 外見: 原作では「非常に体の大きい、禿げ頭の男性」と描写されています。
• 性格: 描写は少ないものの、勤勉な店主であると思われます。妻と協力して店の在庫を管理する様子から、仕事熱心な一面がうかがえます。ホラス・スラグホーンとの逸話からは、ビジネス上の関係を重視する現実的な性格も示唆されます。

彼の魔法の腕前や得意な呪文、杖、守護霊などについての具体的な記述はありません。しかし、魔法界で最も有名な菓子店の店主であることから、魔法の菓子作りに関しては非常に高い技術を持っていると推測されます。特に食品に関連する呪文や魔法薬学に精通している可能性が高いです。

• ハニーデュークス: 彼が所有する最も重要なものは、彼自身が創業した菓子店です。この店は、爆発ボンボンや蛙チョコレート、バーティー・ボッツの百味ビーンズなど、多種多様な魔法の菓子を取り扱っており、ホグワーツの生徒たちの間で絶大な人気を誇ります。

• フルーム夫人: 彼の妻であり、ビジネスパートナーです。共にハニーデュークスを切り盛りしています。
• ホラス・スラグホーン: かつては良好な関係を築いており、誕生日に贈り物をしていた間柄でした。しかし、仕事の紹介をめぐる一件で関係が悪化したことが示唆されています。
• ホグワーツの生徒: 顧客として、世代を超えて多くの生徒たちと関わりがあります。ロン・ウィーズリーやハーマイオニー・グレンジャーも彼の店の常連客です。

• アンブロシウス (Ambrosius): ギリシャ語の「Ambrosios」（「不死の」「神聖な」の意）に由来するラテン語名です。これはギリシャ神話に登場する神々の食べ物「アンブロシア」と強く関連しており、食べると不死が得られるとされています。菓子職人の名前として非常にふさわしいと言えます。
• フルーム (Flume): 「人工水路」を意味する英単語です。一見関連性は薄いですが、物が運ばれる経路を指すことから、ホグワーツから彼の店の地下室へと続く秘密の通路を暗示している可能性も考えられます。また、甘いプディングの一種である「フラマリー (flummery)」との語感の近さも指摘できます。

• 映画『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』では、俳優のフレディ・デイヴィスがハニーデュークスの店主を演じていますが、クレジットでは役名が明記されていません。（映画設定）