ビクトール・クラム

ビクトール・クラムは、ダームストラング専門学校の学生であり、ブルガリアクィディッチ代表チームのシーカーとして世界的な名声を得ている魔法使いです。1994年から1995年にかけてホグワーツ魔法魔術学校で開催された三大魔法学校対抗試合 (トライウィザード・トーナメント) では、ダームストラング代表選手に選ばれました。彼は無口でぶっきらぼうな印象を与えますが、非常に優れた魔法の才能と飛行技術を持ち、物語の重要な局面でハリー・ポッターのライバル、そしてハーマイオニー・グレンジャーの友人として登場します。

クラムが物語に初めて登場するのは、1994年のクィディッチ・ワールドカップ決勝戦です。ブルガリア代表チームのスター選手である彼は、アイルランドチームとの試合で驚異的な飛行技術を見せつけ、ロナルド・ウィーズリーを含む多くの観客を魅了しました。試合では、彼はロンスキー・フェイントとして知られる危険な高等技術を披露しました。最終的に彼は金のスニッチを捕らえましたが、試合はアイルランドの勝利に終わりました。

ワールドカップの数ヶ月後、クラムはイゴール・カルカロフ校長に率いられてダームストラング専門学校の代表団としてホグワーツ魔法魔術学校を訪れました。彼は炎のゴブレットによってダームストラングの代表選手に選ばれます。

• 第一の課題: 彼は中国火の玉龍 (チャイニーズ・ファイアボール) と対峙し、ドラゴンを盲目にするための結膜炎の呪いを使用しました。この戦術は成功し金の卵を手にしましたが、呪いによって暴れたドラゴンが自身の卵をいくつか踏み潰してしまったため、審判から減点されました。
• クリスマス・ダンスパーティ: 彼はハーマイオニー・グレンジャーをパートナーとしてダンスパーティに招待し、多くの生徒、特にロン・ウィーズリーを驚かせました。彼はハーマイオニーに真摯な好意を寄せ、頻繁にホグワーツの図書室で彼女と時間を過ごしました。
• 第二の課題: 黒い湖に囚われたハーマイオニーを救出するため、クラムは不完全ながらも自身をサメに変身させる高度な変身術を使用しました。彼は水中人の次に人質を救出しましたが、グリンデローに妨害され、時間内にゴールにはたどり着けませんでした。
• 第三の課題: 迷路の中で、彼はバーテミウス・クラウチ・ジュニアがかけた服従の呪文に操られ、セドリック・ディゴリーに対して磔の呪文を使用しました。しかし、ハリー・ポッターによって気絶させられ、呪文から解放されました。

トーナメント終了後、彼はハーマイオニーにブルガリアへの招待を伝え、ハリーに対しても敬意を示してホグワーツを去りました。

1997年、クラムはビル・ウィーズリーとフラー・デラクールの結婚式に出席しました。その場で彼はゼノフィリウス・ラブグッドが身につけていた死の秘宝のシンボルを見て激しく反応します。彼はそのシンボルを、彼の祖父を殺害した悪名高い闇の魔法使いゲラート・グリンデルバルドの印だと誤解していました。ハーマイオニーとの関係については、ハリーに彼女との間に何かあったのかを率直に尋ね、友情以上の感情がなかったことを確認しています。 J.K. ローリングによれば、クラムは一度クィディッチを引退した後、2014年のワールドカップでブルガリア代表として復帰し、ついにチームを優勝に導いたとされています（Pottermore）。

クラムは背が高く痩せており、大きな鉤鼻と濃い眉毛を持つ、黒髪の青年として描かれています。地上ではがに股で不器用そうに見えますが、ひとたび箒に乗れば空中では比類なき優雅さと技術を発揮します。 性格は非常に無口で、不機嫌そうな表情を浮かべていることが多いため、とっつきにくい印象を与えます。しかし、内面では思慮深く、特にハーマイオニーに対しては誠実で優しい一面を見せました。彼は公正な競争を重んじる精神を持ち、校長であるイゴール・カルカロフがヴォルデモートの復活を知って逃亡した際には、その卑劣な行動に嫌悪感を示しました。

• クィディッチ: 世代を代表するシーカーの一人であり、その飛行技術は世界最高レベルです。特にロンスキー・フェイントを完璧にこなすことで知られています。
• 闇の魔術と決闘: 闇の魔術を教えることで知られるダームストラング専門学校の生徒であり、結膜炎の呪いのような強力な呪いを効果的に使用できます。服従の呪文下にあったとはいえ、許されざる呪文の一つである磔の呪文を行使したこともあります。
• 変身術: 第二の課題で見せた不完全なサメへの変身は、非常に高度で強力な魔法の才能を示しています。このような人間-動物間の変身術は、熟練した魔法使いにとっても困難なものです。
• 魔杖: ニワトコ材、ドラゴンの心臓の琴線、10と4分の1インチ、かなり硬い。著名な杖作りであるグレゴロビッチによって作られました。

• 杖: グレゴロビッチ製の杖。彼の魔法能力の源です。
• ファイアボルト: ワールドカップで使用した最高級のレース用箒。（ブルガリアチーム全体が使用していたと記述あり）
• 金の卵: 三大魔法学校対抗試合の第一の課題でドラゴンから奪取した、次の課題へのヒントが隠された魔法の道具。

• ハーマイオニー・グレンジャー: 三大魔法学校対抗試合の間に親密な関係を築き、彼女に恋愛感情を抱きました。トーナメント後も手紙のやり取りを続けました。
• ハリー・ポッター: トーナメントではライバルでしたが、互いの能力と人格を認め合い、敬意を抱くようになりました。
• ロン・ウィーズリー: 当初はクィディッチのスター選手としてクラムを崇拝していましたが、彼がハーマイオニーと親しくなると激しい嫉妬を覚えました。
• イゴール・カルカロフ: 彼の校長。クラムはカルカロフの死喰い人であった過去と、その臆病さを軽蔑していました。

• Viktor: ラテン語の “Victor”（勝利者）に由来するスラブ系の一般的な名前です。彼のチャンピオンとしての地位を象徴しています。
• Krum: 9世紀に実在したブルガリアの君主（ハーン）、クルムに由来します。彼は強力な統治者として知られており、キャラクターの出自と強さを暗示しています。

• 映画版『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』では、ブルガリア出身の俳優スタニスラフ・アイエネフスキーが演じています。
• 映画版『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』では、結婚式の場面は描かれていますが、原作にあったゼノフィリウス・ラブグッドやハリーとの会話は省略されています。（映画版）
• J.K. ローリングは公式サイトPottermoreで、クラムが引退を撤回して2014年のクィディッチ・ワールドカップに出場し、決勝でブラジルを破ってブルガリアを優勝に導いたことを明かしました。（Pottermore）