スコルピウス・ヒュペリオン・マルフォイ

スコルピウス・ヒュペリオン・マルフォイ (Scorpius Hyperion Malfoy) は、ドラコ・マルフォイとアストリア・グリーングラスの息子であり、純血の魔法使いです。舞台劇『ハリー・ポッターと呪いの子』における主要な主人公の一人であり、アルバス・セブルス・ポッターの親友として描かれています。彼はスリザリン寮に所属し、マルフォイ家の暗い過去や自身の出生に関する悪意ある噂に苦しみながらも、優しく知的な性格で物語の重要な役割を担います。 このキャラクターに関する情報の大部分は、J.K.ローリング、ジャック・ソーン、ジョン・ティファニーによる舞台劇『ハリー・ポッターと呪いの子』に由来しており、原作小説シリーズには名前が登場しません。(原作『ハリー・ポッターと死の秘宝』のエピローグで、ドラコの息子として言及されるのみです。)

スコルピウスは2006年頃に、ドラコ・マルフォイとアストリア・グリーングラスの間に一人息子として生まれました。母親のアストリアは「血の呪い」に苦しんでおり、スコルピウスを産んだことでその呪いが進行し、彼の学生時代に亡くなります。マルフォイ家は、スコルピウスを古い純血主義の思想から守ろうとするアストリアの意向もあり、孤立した生活を送っていました。このため、スコルピウスはヴォルデモート卿タイムターナーを使って遺した息子であるという、根拠のない悪質な噂に苦しむことになります。(『ハリー・ポッターと呪いの子』)

2017年、スコルピウスはホグワーツ魔法魔術学校に入学し、ホグワーツ特急アルバス・セブルス・ポッターと出会います。偉大な父親を持つという共通のプレッシャーから二人はすぐに意気投合し、共にスリザリン寮に組分けされ、唯一無二の親友となります。 彼の物語は、アルバスと共にセドリック・ディゴリーの死を防ごうと決意し、魔法省から秘密裏にタイムターナーを盗み出すことから大きく動き出します。彼らの軽率な時間改変は、意図せずして悲惨な別の時間軸を生み出してしまいます。一つはハーマイオニー・グレンジャーロン・ウィーズリーと結婚せず、意地悪な教授になった世界。もう一つは、ヴォルデモート卿が勝利し、ハリー・ポッターが死んだ暗黒の世界でした。 暗黒の世界で、スコルピウスは「スコーピオン・キング」として恐れられ、人気のある生徒になっていましたが、彼はその世界と自分自身を嫌悪し、元の時間軸を回復させるために奮闘します。この過程で、彼は生き残っていたセブルス・スネイプやハーマイオニー、ロンの助けを得て、歴史を元に戻すことに成功します。 最終的に、一連の事件の黒幕がヴォルデモートの娘であるデルフィーニだと判明し、スコルピウスはアルバスやその家族と共に、ゴドリックの谷で彼女と対決し、その野望を阻止しました。(『ハリー・ポッターと呪いの子』)

スコルピウスは父親のドラコ・マルフォイによく似ており、金髪、灰色の目、尖った顔つきというマルフォイ家の特徴を受け継いでいます。 しかし、その性格は学生時代の父親とは全く異なります。彼は非常に親切で、少し不器用ですがユーモアのセンスがあり、忠実な友人です。彼は博識で、特に魔法史に詳しい本の虫です。マグルマグル生まれに対する偏見を持っておらず、父が教えようとした古い価値観を拒絶しています。自身の出自に関する噂や、一族の評判によって深く傷ついていますが、それを乗り越えようとする強い意志を持っています。

スコルピウスは、年齢相応の優れた魔法能力を持つ魔法使いです。彼の最大の強みは、広範な読書によって得た深い学術知識です。特に魔法史に関する知識は、タイムターナーの冒険において危機を乗り越えるための重要な鍵となりました。決闘の場面でも、アルバスと共に様々な呪文を駆使して戦っており、実戦能力も兼ね備えていることが示されています。(『ハリー・ポッターと呪いの子』)

  • アルバス・セブルス・ポッター: 彼の唯一無二の親友。二人の強い絆は『ハリー・ポッターと呪いの子』の物語の核となっています。互いに家族の重圧を分かち合い、支え合っています。
  • ドラコ・マルフォイ: 彼の父親。二人の関係は愛情深いものですが、ドラコが過保護になるあまり、時折すれ違うこともありました。物語を通して、彼らはお互いをより深く理解し、親子としての絆を再確認します。
  • ローズ・グレンジャー=ウィーズリー: スコルピウスが片思いしている相手。彼は頻繁に彼女に話しかけようとしますが、その試みはほとんど空振りに終わります。
  • デルフィーニ: 当初は友人として彼らに近づきますが、その正体はヴォルデモート卿の娘であり、彼らを操って自身の目的を果たそうとする敵対者です。
  • スコルピウス (Scorpius): ラテン語で「蠍(さそり)」を意味します。また、さそり座の星座名でもあります。これは、ブラック家の伝統である星や星座にちなんで子供を名付ける習慣(例:シリウス・ブラックベラトリックス・レストレンジドラコ・マルフォイ)を踏襲したものです。
  • ヒュペリオン (Hyperion): ギリシャ神話に登場する、天空神ウラノスと大地母神ガイアの間に生まれた12人のティーターン神族の一柱の名前です。
  • スコルピウス・マルフォイというキャラクターは、舞台劇『ハリー・ポッターと呪いの子』のために創造されました。原作小説『ハリー・ポッターと死の秘宝』のエピローグでは「ドラコの息子」として登場するのみで、名前は明かされていませんでした。
  • 彼の善良で忠実な性格は、これまでのマルフォイ家のイメージを覆すものであり、ファンの間で非常に人気の高いキャラクターとなっています。