死の秘宝のシンボル
基本情報
描写と外見
死の秘宝のシンボルは、シンプルな幾何学図形を組み合わせた印です。具体的には、正三角形の内側に円が描かれ、その円と三角形の頂点と底辺の中点を貫くように一本の縦線が引かれたデザインをしています。 それぞれの図形は、三人兄弟の物語に登場する3つの強力な魔法の道具、すなわち死の秘宝を象徴しています。
このシンボルは、信奉者にとっては死を制する者となるための道標であり、一方でその歴史的背景から闇の印と誤解されることもあります。
歴史
このシンボルの起源は、ペベレル家の三兄弟(アンチオク、カドマス、イグノタス)が死から授かったとされる死の秘宝の伝説に遡ります。この物語を信じ、秘宝の存在を追い求める魔法使いや魔女たちの間で、このシンボルは一種の符丁として受け継がれてきました。 しかし、20世紀においてこのシンボルは暗い意味合いを帯びることになります。若き日のアルバス・ダンブルドアと共に秘宝を探し求めた闇の魔法使い、ゲラート・グリンデルバルドが、自らの権力と革命の象徴としてこの印を採用したためです。グリンデルバルドはダームストラング専門学校の壁にもこのシンボルを刻みつけました。彼の悪名高い活動により、特にヨーロッパ大陸では、このシンボルはグリンデルバルドの印、すなわち闇の魔術に関連するものとして広く認識されるようになりました。 この誤解は第二次魔法戦争の時代まで根強く残っており、ビクトール・クラムはビル・ウィーズリーとフラー・デラクールの結婚式でゼノフィリウス・ラブグッドがこのシンボルのネックレスを身につけているのを見て、グリンデルバルドの支持者だと誤解し激しい怒りを見せました。
物語における役割
死の秘宝のシンボルは、『ハリー・ポッターと死の秘宝』における中心的な謎として機能します。 ハリー・ポッターは、当初このシンボルが何であるかを知らず、ゼノフィリウス・ラブグッドやグレゴロビッチの店など、様々な場所で目にします。ハーマイオニー・グレンジャーがダンブルドアの遺品である吟遊詩人ビードルの物語の原本でこのシンボルを発見し、ラブグッド氏の家を訪ねたことで、三人は初めてその本当の意味、すなわち死の秘宝との関連性を知ることになります。 このシンボルは、ハリーにとっての重大な選択を象徴しています。それは、ヴォルデモートを倒すために彼の分霊箱を探し破壊するという使命と、死の秘宝をすべて集めて「死を制する者」になるという誘惑との間の葛藤です。物語の終盤、ハリーは権力としての秘宝を追い求めるのではなく、三人兄弟の物語の末弟イグノタス・ペベレルのように謙虚に死を受け入れることを選び、真の意味で「死を制する者」となりました。
幕後情報
- J.K. ローリングは、このシンボルをデザインしたのは全くの偶然であったと語っています。彼女が物語を執筆中に無意識に描いたものであり、後にフリーメイソンのシンボルと類似していることに気づいたものの、意図したものではないとのことです。(作者のインタビュー)
- 映画『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』では、「三人兄弟の物語」が独特の影絵アニメーションで描かれ、このシンボルがどのように形成されるかが視覚的に表現されており、非常に印象的なシーンとなっています。(映画設定)