金のスニジェット

金のスニジェット

  • タイプ (Type): 魔法生物
  • 魔法省分類 (Ministry of Magic Classification): XXXX (熟練した魔法使いにのみ扱える危険な生物) ((『幻の動物とその生息地』より))
  • ステータス (Status): 絶滅危惧種、法的に保護されている
  • 特徴 (Features): 驚異的な飛行能力、捕獲を回避する能力

金のスニジェット (Golden Snidget) は、非常に小型の鳥類の魔法生物である。その身体は完全に球形で、重さはごくわずかである。全身が輝く黄金の羽で覆われており、目はルビーのように赤い宝石のような輝きを放っている。 その最大の特徴は、驚異的な飛行能力にある。翼の関節が完全に回転するため、ほとんど静止した状態からでも、恐るべき速度と正確さで方向転換することができる。この能力により、捕食者や捕獲者から逃れることに極めて長けている。

金のスニジェット自体が魔法を積極的に使うことはないが、その存在と能力が魔法界、特にスポーツの歴史に大きな影響を与えた。

  • 飛行能力: 超高速での飛行と、瞬時に方向を変える機動性は、他のいかなる飛行生物とも一線を画す。この特性が、後にクィディッチにおける金のスニッチの動きのモデルとなった。
  • 初期のクィディッチでの役割: かつて、金のスニジェットはクィディッチの試合で実際に使用されていた。試合中に一羽のスニジェットが放たれ、両チームの「ハンター」(現在のシーカーの前身)がそれを捕獲することで試合が終了し、捕獲したチームに150点が与えられた。これは、1269年の試合でバーバラス・ブラッグが捕獲者に150ガリオンの賞金を提示したことに由来する。(『クィディッチ今昔』より)

金のスニジェットの歴史は、クィディッチの歴史と密接に結びついているが、その人気が原因で絶滅の危機に瀕した悲劇的な過去を持つ。

  1. 13世紀以前: その美しい黄金の羽とルビーのような目のために、一部の魔法使いによって狩猟の対象とされていた。
  2. 1269年: 当時の魔法使い評議会議長であったバーバラス・ブラッグが、クィディッチの試合に金のスニジェットを持ち込み、捕獲した選手に150ガリオンの賞金を与えると宣言した。これが、スニジェットがクィディッチに導入されるきっかけとなった。
  3. 乱獲と絶滅の危機: クィディッチの公式な要素としてスニジェット狩りが定着すると、試合ごとにスニジェットが殺されることが常態化した。これにより、金のスニジェットは瞬く間に乱獲され、個体数が激減し絶滅寸前にまで追い込まれた。
  4. 保護と代替品の発明: 14世紀半ば、魔法使い評議会議長エルフリダ・クラッグが金のスニジェットを保護種に指定し、クィディッチでの使用を全面的に禁止した。この決定を受け、ゴドリックの谷に住む魔法道具発明家のボーマン・ライトが、スニジェットの飛行特性を模倣した魔法のボール、金のスニッチ を発明した。これにより、スニジェットはクィディッチの試合から完全に姿を消し、保護されることになった。

金のスニジェット自体は、『ハリー・ポッター』の物語本編(全7巻)には直接登場しない。しかし、その存在はクィディッチの重要な要素である金のスニッチの起源として、物語の背景に深く関わっている。 特に重要なのは、アルバス・ダンブルドアハリー・ポッターに遺した金のスニッチである。このスニッチには、製造時にかけられた「肉体の記憶 (flesh memory)」という魔法があり、最初に触れた人物を記憶する。この「肉体の記憶」という概念は、元々生きていた金のスニジェットを捕獲していた歴史を色濃く反映している。ハリーが死を覚悟した際に口で触れると、このスニッチが開き、中から死の秘宝の一つである蘇りの石が現れた。これは、ヴォルデモートとの最終決戦において極めて重要な役割を果たした。

  • 金のスニジェットに関する詳細な情報のほとんどは、J.K. ローリングが執筆した関連書籍クィディッチ今昔 (*Quidditch Through the Ages*) に記載されている。
  • また、幻の動物とその生息地 (*Fantastic Beasts and Where to Find Them*) の中でも、保護されている魔法生物としてリストアップされ、その生態や魔法省による分類が説明されている。