グリップフック (Griphook) は、グリンゴッツ魔法銀行に勤務していたゴブリンです。彼は物語の序盤と終盤で重要な役割を果たします。初登場時はハリー・ポッターを金庫へ案内する銀行員として、再登場時には第二次魔法戦争の逃亡者として、最終的にはゴドリック・グリフィンドールの剣をめぐりハリーたちと協力し、そして裏切る複雑なキャラクターとして描かれています。彼の行動は、魔法界における魔法使いとゴブリンの間の根深い不信と歴史的対立を象徴しています。
グリップフックが物語に初めて登場するのは、ハリー・ポッターが11歳の誕生日にルビウス・ハグリッドと共にダイアゴン横丁を訪れた際です。彼はハリーをポッター家の金庫と、賢者の石が隠されていた713番金庫へと案内する役目を担いました。この時点では、彼はグリンゴッツの典型的な行員として、無愛想ながらも職務に忠実な様子を見せています。
ハリー・ポッターと死の秘宝において、グリップフックは逃亡者として再登場します。彼はテッド・トンクスやディーン・トーマスらと共に「人さらい」に捕らえられ、マルフォイの館に連行されました。そこでハリー・ポッター、ロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャーと出会います。 ベラトリックス・レストレンジが自身の金庫に保管していたはずのゴドリック・グリフィンドールの剣をハリーが持っていることに気づくと、彼女はグリップフックにその剣が本物か偽物かを尋問します。グリップフックは、ベラトリックスの金庫にある剣は偽物だと(真実を)証言し、結果的にハリーたちを窮地から救いました。 ドビーによってマルフォイの館から救出された後、彼はビル・ウィーズリーとフラー・デラクールが住むシェル・コテージで療養します。そこでハリーから、ベラトリックスの金庫に侵入するための協力を依頼されます。グリップフックは、ゴブリンが製作したものは本来作り手であるゴブリンに所有権があるというゴブリンの価値観を主張し、報酬としてゴドリック・グリフィンドールの剣を要求しました。 ハリーたちはこの条件を飲み、グリップフックの案内でグリンゴッツ魔法銀行への侵入に成功します。しかし、金庫内でヘルガ・ハッフルパフのカップを発見した後、グリップフックは剣を奪い、「泥棒!」と叫んで警備のゴブリンたちに警告し、ハリーたちを裏切りました。彼は剣と共にその場から姿を消しましたが、その後、グリンゴッツに現れたヴォルデモート卿によって、他の多くのゴブリンと共に殺害されました。
グリップフックは、「浅黒く、利口そうな顔」をしたゴブリンとして描写されています。彼は先の尖った顎鬚を生やし、非常に長い指と足を持っています。 彼の性格は複雑です。当初はプロフェッショナルな銀行員として振る舞いますが、物語の後半では魔法使いに対する深い不信感と、ゴブリンとしての誇りと怨恨を明らかにします。彼は狡猾で計算高く、自身の種族の利益を最優先に行動します。ゴドリック・グリフィンドールの剣に対する執着は、ゴブリンが魔法使いから受けた歴史的な不当な扱いへの抵抗の象徴であり、彼の行動原理の根幹をなしています。最終的にハリーを裏切る行為は、彼の自己中心的で日和見主義的な側面を浮き彫りにしました。
グリップフックはゴブリンであるため、魔法使いが使うような杖の魔法は使用しません。しかし、彼はゴブリン特有の能力と技術に長けています。
グリップフック (Griphook) という名前は、二つの単語から成り立っています。