反対呪文(Counter-Jinx)は、特定の悪戯呪文 (Jinx) の効果を中和または解除するために使用される呪文の一群である。その効果は、単一の呪文を正確に打ち消すものから、広範囲にわたる複数の呪文効果を停止させるものまで多岐にわたる。 物語における最も初期の重要な使用例の一つは、『ハリー・ポッターと賢者の石』で描かれた。グリフィンドール対スリザリンのクィディッチの試合中、ハリー・ポッターの箒が奇妙な動きを始めた際、ハーマイオニー・グレンジャーはセブルス・スネイプがハリーに呪いをかけていると誤解した。しかし、実際にはクィリナス・クィレルが悪戯呪文をかけており、スネイプはハリーを守るために、無言で反対呪文を唱えていた。これは、反対呪文が高度な技術と集中力を要する防御魔法であることを示している。 より一般的な反対呪文として「万能呪文解呪 (General Counter-Spell)」である`フィニート・インカンターテム`が知られている。『ハリー・ポッターと秘密の部屋』では、ハーマイオニー・グレンジャーがドビーによって呪いをかけられ暴走するブラッジャーを止めるためにこの呪文を使用した。 また、特定の悪戯呪文に一対一で対応する反対呪文も存在する。『ハリー・ポッターと謎のプリンス』で、ハリーは半純血のプリンスの教科書から、人を逆さ吊りにする呪文`レビコーパス`を学ぶが、その教科書には反対呪文である`リベラコーパス`も記されていた。ハリーは誤ってロン・ウィーズリーに`レビコーパス`をかけてしまった際、この反対呪文を使って彼を元に戻した。 さらに、天候を操るような環境魔法に対する反対呪文も存在する。『ハリー・ポッターと死の秘宝』では、魔法省の役人ヤックスリーのオフィス内で降り続く雨を止めるための呪文として`メテオロジンクス・レカント`が言及されている。
反対呪文の学習難易度は、その呪文の性質によって大きく異なる。`フィニート・インカンターテム`のような一般的なものはホグワーツの標準的なカリキュラムに含まれており、比較的早い段階で学ぶことができる。一方で、特定の複雑な呪文に対する反対呪文や、スネイプが使用したような無言呪文は、より高度な魔法技術を必要とする。 反対呪文は、それ自体が悪戯呪文への対抗策である。悪戯呪文がかけられるのを未然に防ぐ最も効果的な方法は、`プロテゴ`のような盾の呪文で呪文そのものを弾くことである。
英語の “Counter-Jinx” は、「反対する」「対抗する」を意味する “Counter” と、「軽い呪い」「縁起の悪いもの」を意味する “Jinx” を組み合わせたものである。日本語の「反対呪文」は、その意味を直接的に翻訳したものである。