スラッグ・クラブ
概要
スラッグ・クラブ (Slug Club) は、ホグワーツ魔法魔術学校の魔法薬学教授であるホラス・スラグホーンが個人的に主宰する学生の集まりである。このクラブは、スラグホーンが「収集」するに値すると見なした、特に才能があるか、有名であるか、あるいは影響力のある家系に生まれた学生たちを招待して構成される。 クラブの主な活動は、スラグホーンのオフィスで開かれる豪華なディナーパーティやクリスマスパーティである。スラグホーンは、これらの集まりを通じて有望な若者たちとの個人的な関係を築き、彼らが卒業して社会で成功した際に、その恩恵(無料のクィディッチの試合のチケット、高級な菓子など)にあずかることを楽しみにしている。クラブの名称は、創設者であるスラグホーン (Slughorn) の名前にちなんだ言葉遊びである。
歴史と活動
スラッグ・クラブは、スラグホーンがホグワーツで教鞭をとっていた二つの異なる時期に活動していた。 第一期は、トム・マールヴォロ・リドルが在学していた時代を含む、スラグホーンが最初に魔法薬学教授を務めていた期間である。この時期、彼はリリー・エバンズやルシウス・マルフォイといった、後に魔法界で重要な役割を果たすことになる多くの才能ある生徒たちをクラブに招いていた。 第二期は、1996年にスラグホーンがアルバス・ダンブルドアの説得に応じてホグワーツに復帰した際に再開された。彼は復帰初日、ホグワーツ特急の車内で早速有望な生徒たちを集め、クラブを再始動させた。この年のクラブの中心メンバーは、「選ばれし者」として魔法界の注目を集めていたハリー・ポッターであった。活動は、学期中に数回開催されるディナーパーティや、盛大なクリスマスパーティが主であった。
入会基準
スラッグ・クラブへの入会は、完全にホラス・スラグホーンの個人的な裁量によって決まる。招待される生徒は、主に以下の基準のいずれかを満たしている。
- 家柄やコネクション: 魔法省の有力者や有名な魔法使いを親族に持つ生徒。(例:コーマック・マクラーゲン、ブレーズ・ザビニ)
- 個人的な興味: スラグホーン自身が強い関心を抱いた生徒。(例:ハリー・ポッター)
一度招待されたとしても、スラグホーンの期待に応えられなければ、その後のパーティには呼ばれなくなることもある。
著名なメンバー
スラグホーンの第一期在任中
- トム・マールヴォロ・リドル:後のヴォルデモート卿。スラグホーンのお気に入りの生徒の一人だった。
- ダーク・クレスウェル:後に魔法省のゴブリン連絡室の室長となる。
- バーナバス・カフ:日刊予言者新聞の編集者。
- アンブロジウス・フルーム:ハニーデュークスの店主。
- グウェノグ・ジョーンズ:ホリヘッド・ハーピーズのキャプテン。
1996年-1997年度
- マーカス・ベルビィ
- メリンダ・ボビン
ネビル・ロングボトムもホグワーツ特急での最初の集まりには招待されたが、その後のパーティには招かれなかったようである。
物語における役割
スラッグ・クラブは、小説第6巻『ハリー・ポッターと謎のプリンス』の物語において極めて重要な役割を担う。アルバス・ダンブルドアは、ハリー・ポッターに対し、ホラス・スラグホーンからヴォルデモート卿の分霊箱に関する極めて重要な記憶を引き出すよう任務を与える。 ハリーはスラッグ・クラブのメンバーになることでスラグホーンに接近し、信頼関係を築く機会を得る。クラブでのパーティや個人的な会話の場が、ハリーが記憶を引き出そうと試みる主要な舞台となった。最終的に、ハリーは幸運の液体 (フェリックス・フェリシス) の助けを借りて、スラグホーンからトム・リドルに分霊箱の作り方を教えたという完全な記憶を入手することに成功する。この記憶は、ヴォルデモート卿を倒すための決定的な手がかりとなった。