ビードの小さなハンドバッグ

ビードの小さなハンドバッグは、外見上は紫色のビーズで飾られた、何の変哲もない小さなハンドバッグです。そのサイズは、大きな財布ほどの大きさしかありません。ハリー・ポッターは、初めてこれを見たとき「年老いた魔女がカエルの卵でも入れて持ち歩きそうな」バッグだと感じました。 しかし、その地味な外見とは裏腹に、強力な魔法がかけられています。

このハンドバッグの最も重要な魔法特性は、ハーマイオニー・グレンジャーによってかけられた発見不可能拡大呪文 (Undetectable Extension Charm) です。この呪文により、バッグの内部空間は物理的な外寸をはるかに超えて拡張されています。

  • 大容量の収納能力: バッグの内部には、テント、大量の書物、着替え、ポリジュース薬などの魔法薬、食料、肖像画といった、本来であれば到底収まらない量の物品が収納されていました。
  • 重量不変: 内部にどれだけ多くの物を入れても、バッグ自体の重さは変わりません。
  • 物品召喚: 所有者が中に入っている特定の物品を思い浮かべることで、手探りで探すことなく、その物品を即座に取り出すことができます。この機能により、緊急時でも必要な道具を迅速に入手することが可能でした。

発見不可能拡大呪文は高度な魔法であり、魔法省はその個人的な使用を厳しく規制していますが、ハーマイオニーは来るべき旅のためにこの呪文を習得し、バッグに応用しました。

このハンドバッグは、元々はハーマイオニーが所有していた普通のバッグでした。1997年の夏、ビル・ウィーズリーフラー・デラクールの結婚式の前に、彼女はヴォルデモート分霊箱を探す旅がいつ始まってもおかしくないと予測していました。 その日に備え、ハーマイオニーはこのバッグに発見不可能拡大呪文をかけ、旅に必要不可欠と思われるあらゆるものを詰め込みました。その中には、ホグワーツの図書館から借りた本、セブルス・スネイプの『上級魔法薬』、三人分の着替え、パーキンス氏のテント、そして数々の魔法薬などが含まれていました。

このハンドバッグは、『ハリー・ポッターと死の秘宝』において、ハリー・ポッターロン・ウィーズリーハーマイオニー・グレンジャーの三人が分霊箱を探して逃亡生活を送る上で、文字通り生命線となりました。食料、避難場所、情報源(書物)、治療薬など、生き残るために必要な物資のほぼすべてがこのバッグから供給されました。 特に、マルフォイの館で一行が捕らえられた際には、ベラトリックス・レストレンジにこのバッグを取り上げられます。しかし、中に入っていたはずのグリフィンドールの剣は、その直前に「人さらい」によって取り出されていたため、一行が剣を所持していたという決定的な証拠を隠し通すことができました。

  • 映画版『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』では、ハーマイオニーがこの小さなバッグから巨大なテントや山のような本を取り出すシーンが視覚的に描かれ、発見不可能拡大呪文の効果が強調されています。(映画設定)