フラッフィー

フラッフィーは、ルビウス・ハグリッドが所有していた巨大な三頭犬である。1991年から1992年の間、アルバス・ダンブルドアに貸し出され、ホグワーツ城の3階の廊下で賢者の石を守る最初の番人としての役割を担った。 その恐ろしい外見とは裏腹に、音楽を聴かせるとすぐに眠ってしまうという明確な弱点を持つ。この性質は、賢者の石を守るための試練の一部として意図的に設定されていた。

フラッフィーは、『ハリー・ポッターと賢者の石』において、賢者の石を狙う者から石を守るための最初の障害として登場する。 ハリー・ポッターロン・ウィーズリーハーマイオニー・グレンジャーの三人は、アーガス・フィルチから逃れる際に偶然フラッフィーがいる部屋に迷い込み、初めてその存在を知る。当初、彼らはこの怪物が何を目的としてそこにいるのか理解していなかった。 後に三人は、ハグリッドとの会話から、この怪物が「ニコラス・フラメルに関する何か」を守っていること、そしてその名前が「フラッフィー」であることを知る。さらにハグリッドはうっかり、フラッフィーを大人しくさせる方法が「ちょっと音楽を聴かせること」であると漏らしてしまう。 物語のクライマックスで、三人はヴォルデモート卿(当時はクィリナス・クィレルに寄生)よりも先に賢者の石を確保するため、意を決してフラッフィーのもとへ向かう。彼らが部屋に到着した際には、クィレルが先に通り抜けるために残していった魔法のかかったハープがひとりでに音楽を奏でており、フラッフィーはすでに眠っていた。しかし、彼らが仕掛け扉を抜ける途中でハープの音が止まり、フラッフィーが目覚めてしまう。ハリーは、クリスマスハグリッドから贈られたを吹いてフラッフィーを再び眠らせ、危機を脱した。

フラッフィーは、天井から床まで届くほど巨大な怪物犬として描かれている。3つの頭には、それぞれ狂気じみた目が2つずつあり、鼻はひくひくと動き、黄色い牙が覗く3つの口からは絶えずよだれが滴り落ちている。その唸り声は、地面を揺るがすほどの迫力を持つ。 性格は非常に獰猛で、侵入者に対しては一切の容赦なく襲いかかる。しかし、その唯一の弱点は音楽であり、どんな種類の音楽であれ、それを耳にすると深い眠りに落ちてしまう。

Fluffy という名前は英語で「ふわふわした」「綿毛のような」という意味を持つ。ハグリッドが恐ろしい魔法生物に優しく愛らしい名前をつけたがる彼の性格を象徴しており、この巨大で危険な番犬に「フラッフィー」と名付けたのは、強い皮肉とユーモアが込められている。

  • フラッフィーは、ギリシャ神話に登場する冥界の番犬ケルベロス (Cerberus) に着想を得ている。神話のケルベロスもまた3つの頭を持つ犬であり、英雄オルフェウスが竪琴を奏でて眠らせたという逸話がある。
  • ハグリッドは、このフラッフィーを漏れ鍋で出会った「ギリシャ人の男」から購入したと語っており、その出自がギリシャ神話と関連していることが示唆されている。
  • ハリー・ポッターと賢者の石』の出来事の後、ダンブルドアはフラッフィーを禁じられた森に放したとされている。しかし、後にJ.K.ローリングは、ダンブルドアが最終的にフラッフィーを故郷であるギリシャに送り返したと明かしている(Pottermore)。