マルフォイ家

マルフォイ家 (The Malfoy Family) は、魔法界で最も古く、最も裕福な純血の魔法族の家系の一つです。彼らは、純血の優越性を強く信奉しており、物語を通じて闇の魔術と密接な関係を持ち、特にヴォルデモート卿の支持者として重要な役割を果たしました。一族の著名なメンバーには、ルシウス・マルフォイ、その妻ナルシッサ・マルフォイ(旧姓ブラック)、そして息子であるドラコ・マルフォイがいます。彼らはシリーズ全体を通じて、ハリー・ポッターにとって主要な敵対者の一族として描かれています。

マルフォイ家の歴史は古く、初代であるアルマン・マルフォイがウィリアム征服王と共にブリテン島へ渡り、王からウィルトシャー州の土地を与えられたことに始まります(Pottermore)。以来、彼らは巧みにマグル社会と魔法界の両方で影響力を保持し、富を築き上げてきました。

  • 第一次魔法戦争: ルシウス・マルフォイ死喰い人 (デスイーター) としてヴォルデモート卿に仕えましたが、主君の失墜後は服従の呪文によって操られていたと主張し、アズカバンへの収監を逃れました。
  • 戦間期: マルフォイ家は魔法省への多額の寄付などを通じて、その影響力を維持し続けました。ルシウスはホグワーツ魔法魔術学校の理事の一員も務めていました。
  • 第二次魔法戦争: マルフォイ家は再びヴォルデモート卿に仕え、彼らの邸宅であるマルフォイの館は死喰い人の本部として使用されました。しかし、一家の忠誠心は恐怖と自己保身からくるものであり、最終的には揺らぎ始めます。ホグワーツの戦いにおいて、ナルシッサ・マルフォイが息子のドラコを救うためにヴォルデモート卿に嘘をついたことが、間接的にハリー・ポッターの勝利に繋がりました。
  • 戦後: 戦争での最終的な離反が考慮され、一家はアズカバンへの収監を免れました。彼らの純血至上主義の思想は、戦後の経験を経ていくらか和らいだとされています(Pottermore)。
  • 外見: マルフォイ家の血を引く者は、青白い肌、先の尖った顔立ち、そして特徴的な非常に明るい金髪を持つ傾向があります。これは一族の純血性を象徴する外見的特徴とされています。
  • 性格: 彼らは傲慢で野心的、そして狡猾であると評されます。自らの血統と富に強い誇りを持ち、他者を見下す傾向があります。しかし、その行動原理の根底には、一族の存続を最優先する強い自己保存本能があります。

マルフォイ家は、代々闇の魔術に深い造詣を持つことで知られています。

  • マルフォイの館 (Malfoy Manor): ウィルトシャー州にある一族の邸宅。豪華ですが、第二次魔法戦争中はヴォルデモート卿の本拠地となり、陰鬱な雰囲気に包まれました。
  • 杖: ルシウス・マルフォイの杖はニレとドラゴンの心臓の琴線でできており、蛇の頭を模した杖に仕込まれていました。ドラコ・マルフォイの杖はサンザシとユニコーンのたてがみでした。
  • トム・リドルの日記 (Tom Riddle's Diary): ルシウスは、ヴォルデモート卿の分霊箱の一つであるこの日記を秘密裏に所有しており、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』でジニー・ウィーズリーの持ち物に紛れ込ませました。
  • 屋敷しもべ妖精 (House-Elves): マルフォイ家は長年、ドビーをはじめとする屋敷しもべ妖精を所有していました。

“Malfoy” という名前は、古フランス語の “mal foi” に由来すると考えられています。これは「不実」や「裏切り」を意味し、彼らの利己的で信用できない性格を的確に表しています。

  • マグルとの関係: 「国際機密保持法」が制定される以前、マルフォイ家は富裕なマグルと交流し、その富と影響力を拡大していたことが明かされています(Pottermore)。
  • 戦後の扱い: J.K. ローリングはインタビューで、マルフォイ家が戦後に投獄されなかったのは、ナルシッサがハリーを助けたことが大きく影響していると述べています(作者のインタビュー)。
  • 映画での描写: 映画版では、ルシウス・マルフォイの長くプラチナブロンドの髪など、一族の外見的特徴がより強調して描かれています。また、物語の終盤で一家が戦場から離脱する様子は、原作とは異なる独自の解釈で描写されています(映画設定)。