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トム・リドルの日記

基本情報

記述と外観

トム・リドルの日記は、ロンドンのヴォクソール・ロードにあるマグル向けの文房具店で購入された、何の変哲もない黒い革表紙の薄い手帳である。表紙には何も書かれておらず、中身も一見すると完全に白紙である。しかし、この日記にインクで何かを書き込むと、インクはページに吸い込まれて消え、日記からの返事がひとりでに現れるという魔法の特性を持つ。

魔法の特性と用途

この日記の最も重要かつ邪悪な本質は、それがヴォルデモート卿の最初の魂器であるという点にある。16歳のトム・マールヴォロ・リドル嘆きのマートルを殺害した際に、自らの魂の一部を裂いてこの日記に封じ込めた。

歴史

  1. 1943年、ホグワーツ魔法魔術学校の6年生であったトム・マールヴォロ・リドルは、秘密の部屋を開き、バジリスクを解き放ってマグル生まれの生徒、マートル・エリザベス・ワレン(後の嘆きのマートル)を殺害した。この死を利用して、彼は自身初となる魂器としてこの日記を制作した。
  2. 後にヴォルデモート卿となったリドルは、自身の最初の失脚前に、この日記を忠実な部下であるルシウス・マルフォイに預けた。彼は、いずれ日記をホグワーツに密かに持ち込み、秘密の部屋を再び開かせるよう指示していた。
  3. 1992年、ダイアゴン横丁の「フローリシュ・アンド・ブロッツ書店」で、ルシウス・マルフォイジニー・ウィーズリーの古い変身術の教科書にこの日記を滑り込ませた。これは、ライバルであるアーサー・ウィーズリーへの嫌がらせと、魔法省の家宅捜索から闇のアイテムを処分する目的を兼ねていた。
  4. ジニー・ウィーズリーは日記に自身の悩みを書き込み始め、徐々にリドルの魂に支配されていった。彼女は操られるままに秘密の部屋を開き、鶏を絞め殺し、壁に血のメッセージを残した。
  5. 恐怖に駆られたジニーは日記を嘆きのマートルのいるトイレに捨てたが、それをハリー・ポッターが発見する。ハリーも日記と対話し、リドルの記憶を垣間見る。
  6. 最終的にジニーはリドルの魂に完全に体を乗っ取られ、秘密の部屋へと連れ去られた。
  7. ハリーは秘密の部屋でリドルの記憶の具現化した姿と対峙し、バジリスクとの死闘の末、その牙を日記に突き刺して破壊した。これにより、リドルの魂の最初の断片は消滅した。

物語における役割

ハリー・ポッターと秘密の部屋』において、トム・リドルの日記は物語の中心的な謎であり、実質的な敵として機能する。これは、ハリーが初めて遭遇し、破壊した魂器であるが、その時点では彼もアルバス・ダンブルドアもその正体を完全には理解していなかった。この出来事は、後に魂器を破壊する方法(バジリスクの毒のような強力な物質)の重要な前例となった。また、この日記を通じて、ハリーと読者はヴォルデモート卿の少年時代の姿と、彼の狡猾で残忍な本性の一端を初めて垣間見ることになる。

舞台裏情報