トム・リドルの日記は、ロンドンのヴォクソール・ロードにあるマグル向けの文房具店で購入された、何の変哲もない黒い革表紙の薄い手帳である。表紙には何も書かれておらず、中身も一見すると完全に白紙である。しかし、この日記にインクで何かを書き込むと、インクはページに吸い込まれて消え、日記からの返事がひとりでに現れるという魔法の特性を持つ。
この日記の最も重要かつ邪悪な本質は、それがヴォルデモート卿の最初の魂器であるという点にある。16歳のトム・マールヴォロ・リドルが嘆きのマートルを殺害した際に、自らの魂の一部を裂いてこの日記に封じ込めた。
『ハリー・ポッターと秘密の部屋』において、トム・リドルの日記は物語の中心的な謎であり、実質的な敵として機能する。これは、ハリーが初めて遭遇し、破壊した魂器であるが、その時点では彼もアルバス・ダンブルドアもその正体を完全には理解していなかった。この出来事は、後に魂器を破壊する方法(バジリスクの毒のような強力な物質)の重要な前例となった。また、この日記を通じて、ハリーと読者はヴォルデモート卿の少年時代の姿と、彼の狡猾で残忍な本性の一端を初めて垣間見ることになる。