忍びの地図の作成者、通称「いたずら仕掛け人 (The Marauders)」は、1970年代にホグワーツ魔法魔術学校に在籍した4人のグリフィンドール寮生からなる親友グループである。メンバーは、ジェームズ・ポッター(プロングズ)、シリウス・ブラック(パッドフット)、リーマス・ルーピン(ムーニー)、そしてピーター・ペティグリュー(ワームテール)の4人。彼らは非常に優れた魔法の才能を持ち、ホグワーツの秘密を網羅した魔法の地図、忍びの地図を共同で作成したことで知られる。彼らの友情、才能、そして最終的な裏切りと悲劇は、ハリー・ポッターの物語の根幹をなす重要な背景となっている。
4人は1971年に入学し、すぐに意気投合して固い友情で結ばれた。ジェームズとシリウスはグループの中心的存在で、才能豊かだが傲慢で、規則を破ることを楽しむトラブルメーカーとして有名だった。リーマスは物静かで知的な優等生だったが、毎月一度満月の夜になると姿を消していた。友人たちはやがて、彼が幼い頃にフェンリール・グレイバックに噛まれた人狼であることを突き止める。 この秘密を知った他の3人は、リーマスを孤立させるのではなく、彼を支えるために驚くべき行動に出た。彼らは3年間にわたる努力の末、5年生になる頃にはそれぞれが非合法の動物もどき(アニマagus)に変身する能力を習得した。これにより、彼らは人狼に変身したリーマスと共に夜の校庭を駆け回り、彼が孤独を感じないように付き添うことができた。この経験を通じて、彼らはホグワーツ城とその周辺の土地に関する広範な知識を得て、それを基に忍びの地図を完成させた。 彼らは、同級生であったスリザリン寮のセブルス・スネイプとは犬猿の仲であり、特にジェームズとシリウスは彼を執拗にいじめていたことが知られている。
ホグワーツ卒業後、4人は全員がアルバス・ダンブルドアが率いる最初の不死鳥の騎士団に加わり、ヴォルデモート卿と戦った。しかし、シビル・トレローニーによってもたらされた予言がポッター家をヴォルデモートの標的にすると、彼らの運命は暗転する。 当初、ポッター家の「秘密の守人」はシリウスが務める予定だったが、彼はヴォルデモートが自分を疑うと考え、より目立たないピーターを身代わりに推薦した。しかし、ピーターは既に死喰い人(デスイーター)に寝返っており、ポッター家の隠れ家をヴォルデモートに密告した。これにより、1981年10月31日、ジェームズ・ポッターとリリー・ポッターは殺害された。 裏切りを知ったシリウスはピーターを追跡するが、ピーターは街中で大規模な爆発を起こして12人のマグルを殺害し、自らの指を切り落として死を偽装。すべての罪をシリウスになすりつけ、ネズミの姿で逃亡した。シリウスは裁判なしでアズカバンに投獄され、リーマスは親友のほとんどを一夜にして失い、孤独と貧困の中で生きることを余儀なくされた。これにより、グループは完全に崩壊した。
グループのリーダー的存在。純血の家系に生まれ、非常に才能のあるクィディッチ選手であり、特に変身術に長けていた。彼の動物もどきの姿は牡鹿であり、その枝角(prongs)からニックネームが付けられた。学生時代は傲慢でいじめっ子の一面もあったが、後に成熟し、リリー・エバンズと結婚してハリー・ポッターの父親となった。
純血の名家であるブラック家の出身だが、家族の思想を嫌い反抗的だった。ハンサムでカリスマ性があり、ジェームズの無二の親友。彼の動物もどきの姿は、大きな黒い犬であり、その肉球(pads)からニックネームが付けられた。忠誠心が強いが、向こう見ずで衝動的な性格でもある。
グループの良心ともいえる存在。穏やかで思慮深く、成績優秀だった。人狼であることに深い苦悩と劣等感を抱いていたが、友人たちの支えによって学生生活を乗り越えた。彼のニックネームは、月(moon)の満ち欠けと共に変身する彼の状態に由来する。
グループの中では最も魔法の才能に劣り、常に強い友人たちの陰に隠れていた。臆病な性格で、強い者からの保護を求める傾向があった。彼の動物もどきの姿はネズミで、そのミミズのような(wormlike)尻尾からニックネームが付けられた。最終的に恐怖心から仲間を裏切り、ヴォルデモート卿に仕えた。