ピーター・ペティグリュー

ピーター・ペティグリューは、忍びの者の一員であり、その際のあだ名はワームテール (Wormtail) でした。当初は不死鳥の騎士団に所属していましたが、後にヴォルデモート卿に寝返り、死喰い人となりました。彼はポッター家秘密の守人でありながら、その居場所をヴォルデモートに密告し、ジェームズ・ポッターリリー・ポッターの死を招いた張本人です。 友であったシリウス・ブラックに自身の罪を着せた後、12年もの間、自身の動物もどきの姿であるネズミ(スキャバーズ)としてウィーズリー家に潜伏していました。彼の物語における役割は、裏切りと臆病さ、そしてハリー・ポッターとの間に生まれた「命の恩」によって特徴づけられます。

  • ホグワーツ卒業後、不死鳥の騎士団に加入しましたが、ヴォルデモート卿への恐怖から内通者となり、騎士団の情報を漏らしていました。
  • 当初、ポッター家秘密の守人シリウス・ブラックでしたが、ブラックの提案により、より警戒されにくいペティグリューに変更されました。しかし、これは彼の裏切りを招く致命的な間違いでした。
  • 彼はポッター夫妻の隠れ家の場所をヴォルデモート卿に密告し、二人の死を直接引き起こしました。
  • その後、彼は自らの死を偽装するため、街中でシリウス・ブラックと対峙した際、背後で強力な呪文を爆発させて12人のマグルを殺害し、自らの指を一本切り落として現場から逃亡しました。これにより、全ての罪はシリウスに着せられました。
  • 外見(人間): 小柄で、ネズミを彷彿とさせる容姿をしています。髪は薄く、色のない禿げ頭で、とがった鼻と小さく潤んだ目をしています。
  • 外見(ネズミ): スキャバーズとして知られていた姿は、毛がところどころ抜け落ちた大きな灰色のネズミで、前足の指が一本欠けていました。
  • 性格: 彼の最も顕著な性格は臆病さです。常に自分より強い者の庇護を求め、ジェームズ・ポッターシリウス・ブラックのような人気者に付き従い、後にはヴォルデモート卿という絶対的な力に恐怖から服従しました。自己保身のためなら友人を裏切ることも厭わない、卑劣で日和見主義的な性質を持っています。
  • 動物もどき (Animagus): 彼は未登録の動物もどきであり、ネズミに自由に変身することができます。この能力は、彼のスパイ活動や長期間の潜伏生活において極めて重要な役割を果たしました。
  • 杖の魔法: 彼は臆病者でしたが、魔法使いとしての能力が低いわけではありません。一度の呪文で12人のマグルを殺害し、広範囲にわたる爆発を引き起こすなど、強力な破壊魔法を行使することができます。
  • 闇の魔術: 死喰い人として、ヴォルデモート卿の肉体を復活させるための古い闇の魔術の儀式を遂行するなど、闇の魔術に関する知識も持っていました。
  • ピーター・ペティグリューの杖: かつて所有していた杖。自身の死を偽装した際に失われたと考えられています。
  • 忍びの地図: 4人の作成者の一人。彼がスキャバーズとしてホグワーツに潜伏していた間、地図上には常に「ピーター・ペティグリュー」の名前が表示されていましたが、誰もその意味に気づきませんでした。
  • 銀の手: ヴォルデモート卿から与えられた強力な魔法の義手。持ち主に驚異的な力を与えましたが、主君への完全な忠誠を強制する呪いがかけられており、ペティグリューがハリーに一瞬の同情を見せた際に彼自身の命を奪いました。
  • ジェームズ・ポッターシリウス・ブラック: かつては親友であり、彼らのグループの中で保護される存在でした。しかし、彼はジェームズを裏切り、シリウスにその罪を着せました。
  • リーマス・ルーピン: 「忍びの者」の仲間。ルーピンは彼の裏切りに深い衝撃を受け、彼を軽蔑していました。
  • ハリー・ポッター: 裏切った友人の息子。ハリーが彼の命を助けたことで生まれた「命の恩」は、魔法界における非常に強力な束縛であり、最終的にペティグリュー自身の死という形で返済されました。
  • ヴォルデモート卿: 恐怖心から仕えた主人。ヴォルデモートはペティグリューの臆病さを軽蔑していましたが、彼の忠誠心(恐怖心)を利用価値のあるものとして扱いました。
  • ウィーズリー家: 12年間、彼をただのペットのネズミとして飼っていた家族。彼らはその正体に全く気づいていませんでした。
  • Peter (ピーター): イエス・キリストを3度否んだ弟子、聖ペテロ(St. Peter)を暗示している可能性があります。これは、ペティグリューが友人を裏切った行為と重なります。
  • Pettigrew (ペティグリュー): 英語の “petty”(些細な、卑劣な)と “grew”(成長した)を組み合わせた造語と考えられ、「卑劣に育った者」という意味合いが込められている可能性があります。また、フランス語の “petit”(小さい)に由来するという説もあり、彼の小柄な体格や卑小な精神性を反映しています。
  • Wormtail (ワームテール): 「忍びの者」としてのあだ名。“Worm”(虫けら)は彼の卑屈な性格を、“tail”(尻尾)は彼の動物もどきの姿であるネズミを象徴しています。
  • 映画シリーズでは、俳優のティモシー・スポールがペティグリュー役を演じています。
  • J.K. ローリングはインタビューで、ペティグリューの死が「命の恩」によるものであることを明言しています。彼がハリーに対して抱いた一瞬のためらい(感謝や後悔)を、ヴォルデモート卿が与えた銀の手が裏切りとみなし、罰として彼を殺害したのです。これは、といった、ヴォルデモートが決して理解できなかった強力な魔法の一例です。(作者インタビュー)