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トム・リドルの日記

トム・リドルの日記は、一見するとただの小さな黒い革張りの手帳です。表紙には何も書かれておらず、中身も完全に白紙で、ロンドンのヴォクソール通りの文具店で購入された、ありふれたマグル製品のように見えます。しかし、この日記にインクで何かを書き込むと、文字はページに吸い込まれて消え、しばらくすると別の筆跡で返事が現れます。日記の中には、若き日のトム・マールヴォロ・リドルの記憶と魂の一部が封じ込められています。

この日記の最も重要な魔法的特性は、それがヴォルデモート卿の最初の魂器であるという点です。日記には、16歳のトム・リドルが嘆きのマートルバジリスクを使って殺害したことにより分離させた、自身の魂の断片が収められています。

  • 双方向コミュニケーション: 日記は所有者と対話する能力を持ちます。書き手が自身の秘密や感情を打ち明けるほど、日記に込められたリドルの魂は相手の信頼を得て、その心に影響を及ぼす力を強めます。
  • 憑依と生命力の吸収: 日記は、それに感情的に依存した者から生命力を吸収します。ジニー・ウィーズリーの場合、日記は彼女の恐怖心や不安を糧とし、徐々に彼女の意識を乗っ取り、ついには彼女を操って秘密の部屋を再び開かせました。リドルの魂の最終目的は、十分な生命力を吸収して肉体を取り戻すことでした。
  • 記憶への没入: 日記は、所有者をその製作者であるトム・リドルの過去の記憶の中に引き込むことができます。ハリー・ポッターは、この能力によって50年前にトム・リドル秘密の部屋を開いた犯人としてルビウス・ハグリッドを陥れた場面を目撃しました。
  1. 製作: ホグワーツ魔法魔術学校の5年生だったトム・マールヴォロ・リドルが、秘密の部屋を開けて嘆きのマートルを殺害した後、この日記を自身の最初の魂器としました。
  2. 委託: 後年、ヴォルデモート卿は自身の最初の失脚前に、この日記を忠実な部下であるルシウス・マルフォイに預けました。その際、彼はこれが魂器であることは隠し、「秘密の部屋を再び開けるための巧妙な武器」だとだけ説明しました。
  3. ホグワーツへの侵入: 1992年、ルシウス・マルフォイダイアゴン横丁フローリシュ・アンド・ブロッツ書店で、ジニー・ウィーズリーの古い教科書の中にこの日記を滑り込ませました。これは、アーサー・ウィーズリーへの嫌がらせと、ヴォルデモート失脚後に所持していることが危険となった闇の道具を処分するためでした。
  4. 発見と破壊: 日記を手に入れたジニー・ウィーズリーはリドルの魂に操られましたが、後にその危険性に気づき、嘆きのマートルのトイレに捨てました。それをハリー・ポッターが発見します。最終的に、ハリーは秘密の部屋で日記から実体化したリドルの記憶と対決し、バジリスクの牙で日記を突き刺しました。バジリスクの毒魂器を破壊できる数少ない物質の一つであり、これにより日記に込められたヴォルデモートの魂の断片は完全に破壊されました。

トム・リドルの日記は、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』の物語の中核をなす極めて重要な魔法アイテムです。

  • プロットの牽引役: 日記は、秘密の部屋が再び開かれた謎の中心であり、物語全体の原動力となっています。
  • ヴォルデモートの過去への最初の窓: この日記を通して、ハリーと読者は初めてヴォルデモート卿の過去、すなわちトム・マールヴォロ・リドルという名の優秀だが邪悪な生徒であった頃の姿を知ることになります。
  • 魂器の存在を示唆: これはハリーが遭遇し破壊した最初の魂器です。この時点ではハリーも魂器が何であるか理解していませんでしたが、この経験は後にアルバス・ダンブルドアがハリーに魂器について説明する際の重要な実例となりました。
  • キャラクターの成長: ジニー・ウィーズリーにとって日記との経験は深いトラウマとなりましたが、それを乗り越えたことは、後のシリーズにおける彼女の精神的な強さと成長の礎となりました。
  • 映画版 (ハリー・ポッターと秘密の部屋 (映画)) では、日記が破壊される際、インクのような黒い血が流れ出し、魂の叫び声が響き渡るという視覚的に印象的な演出がなされています。(映画設定)