セドリック・ディゴリー

セドリック・ディゴリー (Cedric Diggory) は、ハリー・ポッターと同時代のホグワーツ魔法魔術学校の生徒で、ハッフルパフ寮に所属していました。彼は非常に才能ある誠実な魔法使いであり、ハッフルパフクィディッチ・チームのキャプテン兼シーカー、そして監督生を務めました。物語における彼の最も重要な役割は、1994年から1995年にかけて開催された三大魔法学校対抗試合において、ハリー・ポッターと共にホグワーツ代表選手に選ばれたことです。彼の死は、ヴォルデモート卿の復活を象徴する悲劇的な出来事であり、第二次魔法戦争の始まりを告げる重要な転換点となりました。

セドリックは魔法省の役人であるエイモス・ディゴリーの一人息子として生まれました。

ホグワーツでは、セドリックは学業、スポーツともに優秀で、誰からも好かれる生徒でした。彼はハッフルパフ寮の監督生であり、クィディッチ・チームではキャプテンとシーカーを務めていました。1993年のグリフィンドールハッフルパフの試合では、吸魂鬼 (ディメンター)の出現によってハリー・ポッターが箒から落ちた隙に彼が金のスニッチを掴みましたが、状況が不公正であったと感じ、試合のやり直しを申し出るなど、彼の公正な精神を示しました。 1994年、彼は最高学年である7年生の時に三大魔法学校対抗試合に名乗りを上げ、炎のゴブレットによってホグワーツの正当な代表選手として選ばれました。彼は各課題で優れた魔法能力と勇気を示しました。

  • 第一の課題: ハリー・ポッターから課題がドラゴンであることを事前に知らされたセドリックは、岩を犬に変身させる変身術を用いてスウェーデン・ショート・スナウト種のドラゴンの注意をそらし、金の卵を手に入れました。
  • 第二の課題: ハリーからのヒントを元に、彼は監督生のバスルームで金の卵の謎を解き明かし、泡頭の呪文を使って湖に潜り、人質となっていたチョウ・チャンを救出しました。
  • 第三の課題: 迷路の課題では、ハリーとセドリックは協力し合いながら進み、最終的に二人同時に三大対抗試合の優勝杯にたどり着きました。セドリックはハリーに優勝杯を譲ろうとしましたが、ハリーの提案により、ホグワーツの勝利として二人で同時に杯に触れることに同意しました。

優勝杯はヴォルデモート卿の策略によって移動キー (ポートキー)に変えられており、それに触れたセドリックとハリーはリトル・ハングルトンの墓場へ転送されました。そこでセドリックは、ヴォルデモートの命令を受けたピーター・ペティグリューによって、「余計者を殺せ」という一言の下、許されざる呪文の一つである死の呪い (アバダ・ケダブラ)で殺害されました。彼はヴォルデモート復活の最初の犠牲者となりました。ハリー・ポッターは彼の遺体と共にホグワーツへ帰還し、アルバス・ダンブルドアは学期末の演説で、セドリックの死が悲しい事故ではなく、ヴォルデモート卿による殺人であったという真実を全校生徒に伝えました。

セドリックは「際立ってハンサム」と評される容姿の持ち主で、整った顔立ちにグレーの瞳、ダークヘアをしていました。彼の性格は、ハッフルパフ寮の価値観である「公正、忠誠、勤勉」を体現したものでした。

  • 公正さ: クィディッチの試合で再試合を申し出たり、三大対抗試合の優勝杯をハリーに譲ろうとしたりする場面で、彼の強い公正さが示されています。
  • 謙虚さ: 彼は自身の才能や人気を鼻にかけることなく、常に謙虚な態度を崩しませんでした。父親のエイモス・ディゴリーが自分のことを自慢する際には、しばしば当惑した様子を見せていました。
  • 勇敢さ: 三大魔法学校対抗試合の危険な課題に臆することなく立ち向かい、その勇気を示しました。
  • 親切心: 彼は誰に対しても親切で、多くの生徒から慕われていました。

セドリックは非常に熟練した魔法使いであり、その実力は炎のゴブレットに代表選手として選ばれたことからも明らかです。

  • 変身術: 第一の課題で岩を犬に変える高度な変身術を成功させました。
  • 呪文学: 第二の課題では泡頭の呪文を巧みに使い、長時間水中に滞在しました。
  • クィディッチ: 優れた飛行技術を持つシーカーであり、ハッフルパフ・チームを率いるキャプテンでした。
  • : トネリコ材、長さ12と4分の1インチ、芯は雄のユニコーンのたてがみ一本。杖は「心地よくしなる」と描写されています。
  • 守護霊: 原作小説7冊の中では、彼の守護霊 (パトローナス)の形状は言及されていません。
  • エイモス・ディゴリー: セドリックの父親。息子を深く愛し、その才能を非常に誇りにしていました。セドリックの死は彼に計り知れない悲しみをもたらしました。
  • ハリー・ポッター: 当初はクィディッチ三大魔法学校対抗試合でのライバルでしたが、互いに敬意を払い、助け合う友人関係を築きました。ハリーはセドリックの死に強い罪悪感を抱き、その後の人生に大きな影響を受けました。
  • チョウ・チャン: セドリックのガールフレンドであり、クリスマス・ダンスパーティのパートナーでした。彼女はセドリックの死を深く悲しみました。
  • ハッフルパフ寮の仲間: 寮のリーダー的存在として、仲間たちから絶大な信頼と人気を得ていました。
  • Cedric: ウェールズの王「Cerdic」に由来する可能性のある名前です。ウォルター・スコットの小説『アイヴァンホー』によって広まり、「親切」や「優しい」といったニュアンスを持つ名前とされています。
  • Diggory: 中世の詩に登場する英雄「Degaré」に由来するフランス起源の姓です。また、J.K.ローリングに影響を与えたとされるC.S.ルイスの『ナルニア国物語』に登場するディゴリー・カーク (Digory Kirke) 教授との関連性も指摘されています。