ペベレルの指輪
基本情報
- 所有者 (Owners): カドマス・ペベレル、ゴーント家 (特に マールヴォロ・ゴーント、モーフィン・ゴーント)、トム・マールヴォロ・リドル (ヴォルデモート卿)、アルバス・ダンブルドア、ハリー・ポッター
- 製作者 (Maker): カドマス・ペベレル (指輪部分)、死 (伝説上、石部分)
記述と外観
ペベレルの指輪は、純金製で、やや粗雑な作りの指輪です。中央には黒い石がはめ込まれており、その石には死の秘宝のシンボルが刻まれています。このシンボルを、所有者であったゴーント家はペベレル家の紋章だと信じていました。 アルバス・ダンブルドアが分霊箱としての指輪をグリフィンドールの剣で破壊した後、中央の黒い石には中央を貫くひびが入りました。
魔法的特性と用途
この指輪は、二つの強力で対照的な魔法的特性を宿しています。
- 蘇りの石として:
- 所有者が石を三度回すと、亡くなった人物の「影」を現世に呼び戻すことができます。
- しかし、呼び戻された者たちは真に生き返るわけではなく、肉体を伴わない姿で現れます。彼らは生者の世界に属していないため、悲しげで冷たい存在として描写されます。
- この能力は、死を受け入れ、愛する者たちに別れを告げるために使われるのが本来の目的であると示唆されています。
- 分霊箱として:
- さらに、ヴォルデモート卿は指輪に強力な呪いをかけていました。指輪をはめようとした者は、死に至る呪いを受けることになります。この呪いによって、アルバス・ダンブルドアは右手に致命的な傷を負いました。
歴史
指輪の起源は、伝説のペベレル三兄弟の次男、カドマス・ペベレルに遡ります。彼は「死」から蘇りの石を授かり、それを指輪にはめ込んだとされています。その後、指輪はカドマスの血筋を通じて、サラザール・スリザリンの子孫でもあるゴーント家へと代々受け継がれてきました。 ゴーント家は指輪の真の力(蘇りの石としての能力)を知らず、単に自分たちの純血の家柄とペベレル家との繋がりを証明する家宝として珍重していました。1943年、トム・マールヴォロ・リドルは叔父のモーフィン・ゴーントから指輪を奪い、リドル一家を殺害した後、指輪を分霊箱にしました。彼はその罪をモーフィンになすりつけ、指輪をリトル・ハングルトンにあるゴーント家の廃屋に隠しました。 1996年の夏、アルバス・ダンブルドアは長年の捜索の末に指輪を発見します。それが蘇りの石であることに気づいた彼は、亡き家族に会いたいという誘惑に駆られて指輪をはめてしまい、ヴォルデモート卿がかけた呪いによって右手に再起不能の傷を負いました。その後、セブルス・スネイプの助けで呪いの進行を遅らせたものの、余命宣告を受けることになります。ダンブルドアは、バジリスクの毒が染み込んだグリフィンドールの剣を使って分霊箱を破壊しました。この行為により石にはひびが入りましたが、蘇りの石としての力は失われませんでした。 ダンブルドアは、ハリー・ポッターが初めて捕らえた金のスニッチの中にこの指輪を隠し、遺言によってハリーに託しました。ハリーは禁じられた森でヴォルデモート卿と対峙する直前、スニッチを開けて指輪を手にし、亡き両親、シリウス・ブラック、リーマス・ルーピンの霊を呼び出して、彼らから最後の勇気をもらいました。その後、彼は指輪を森の中に落とし、二度と探そうとはしませんでした。
物語における役割
ペベレルの指輪は、物語の二つの主要なプロット、すなわち「分霊箱の破壊」と「死の秘宝の探求」を結びつける極めて重要なアイテムです。この指輪を通じて、ヴォルデモート卿の過去とゴーント家の歴史が明らかになります。 また、この指輪は「死の誘惑」というテーマを象徴しています。偉大な魔法使いであるアルバス・ダンブルドアでさえ、愛する者に会いたいという個人的な欲望のためにその力を使おうとして破滅的な結果を招きました。対照的に、ハリー・ポッターは死を受け入れるための力として指輪を使い、最終的にそれを手放すことで、ヴォルデモート卿を超える精神的な強さを示しました。
舞台裏情報
- 映画版『ハリー・ポッターと謎のプリンス』では、ダンブルドアが指輪を破壊する場面が回想として描かれています。(映画設定)
- 映画版『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』でハリーが呼び出した霊たちは、より実体に近い姿で描かれ、ハリーに物理的に触れるかのような描写がなされています。(映画設定)