ゴブリンの魔法
概要
ゴブリンの魔法とは、ゴブリンという種族に固有の、魔法使いの魔法とは異なる独自の魔法体系である。主に金属加工、特に銀製品の製作にその真価が発揮され、彼らが作り出す物品には、時間と共に劣化せず、むしろ強化されるという特殊な魔法が付与される。杖を使用せず、所有権に関する独特の哲学的概念を持つことが特徴である。
主な特徴
ゴブリンの魔法は、魔法使いが用いる呪文の詠唱や杖の動きとは大きく異なり、その能力は彼らの文化と深く結びついている。
- ゴブリンメイドの金属製品 (Goblin-Made Metalwork): ゴブリンは極めて優れた金属細工師であり、彼らが製造した武器や鎧はゴブリンメイドとして知られている。これらの製品には、汚れを弾き、自身を強化するものだけを吸収するという特殊な性質が備わっている。最も有名な例はグリフィンドールの剣であり、バジリスクの毒を吸収したことで分霊箱を破壊する能力を得た。
- 杖を使わない魔法 (Wandless Magic): ゴブリンは杖を使用しない。これは、歴史的に魔法省がゴブリンの杖の所持を禁じてきたためである。彼らの魔法は、道具を介さず、あるいは自らの手仕事を通じて直接的に発揮される。グリンゴッツ魔法銀行の厳重な金庫の一部は、資格のあるゴブリンが素手で触れることによってのみ開くことができる。
- 所有権の概念 (Concept of Ownership): ゴブリンは、物品の真の所有者は買い手ではなく製作者であると考える。買い手は代金を支払うことで、生涯にわたってその物品を「借り受ける」だけであり、死後は製作者(またはその一族)に返却されるべきだと信じている。この価値観の違いは、グリフィンドールの剣の所有権を巡って、ハリー・ポッターとグリップフックの間で深刻な対立を引き起こした。
魔法使いの魔法との違い
ゴブリンの魔法と魔法使いの魔法の最も大きな違いは、その目的と発現方法にある。
物語における重要性
ゴブリンの魔法は、物語、特に最終巻『ハリー・ポッターと死の秘宝』において極めて重要な役割を果たす。
- グリンゴッツへの侵入: ハリー・ポッター、ロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャーがレストレンジ家の金庫に侵入した際、彼らはゴブリンが仕掛けた「複製呪文 (Gemino Charm)」や「灼熱呪文 (Flagrante Charm)」、そして「盗人の没落 (Thief's Downfall)」といった強力な防衛魔法に直面した。
関連物品
- ゴブリンが製作したとされる鎧や宝飾品