マージ・ダーズリー

マージョリー・ダーズリー

マージョリー・ダーズリー (Marjorie Dursley)、通称 マージ (Marge) は、バーノン・ダーズリーの姉であり、ハリー・ポッターの義理の叔母にあたるマグルです。彼女は田舎でブルドッグのブリーダーをしており、弟のバーノンや甥のダドリー・ダーズリーを溺愛する一方で、ハリーに対しては一貫して辛辣で侮辱的な態度をとります。 物語における彼女の最も重要な役割は、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』の序盤で、ハリーの両親を侮辱したことでハリーの暴発魔法を引き起こし、風船のように膨らんでしまう事件の当事者となったことです。この出来事が、ハリーがダーズリー家を飛び出し、騎士バスに遭遇する直接のきっかけとなりました。

マージョリーの人生の大部分は、サリー州リトル・ウィンジングにある弟一家の生活とは離れた場所で展開されています。彼女は田舎に住み、ブルドッグの繁殖を主な生業としています。彼女は自身の犬たち、特にリッパーという名の年老いたブルドッグを溺愛しています。 彼女がダーズリー家を訪れることは稀で、ハリーにとっては幸いなことでした。しかし、1993年の夏、彼女は自身の誕生日を祝うために一週間滞在しました。この滞在中、マージは絶えずハリーを精神的に追い詰めました。彼女はハリーがろくでなしの両親から生まれた問題児であると決めつけ、彼が通っているとされる「聖ブルータス非行少年更生施設」での体罰の必要性を説きました。 滞在最終日の夕食の席で、マージはハリーの父ジェームズ・ポッターを失業者、母リリー・ポッターを「出来の悪い血筋」だと侮辱しました。両親への耐え難い侮辱に激怒したハリーは、無意識のうちに強力な魔法を発動させ、マージの体を風船のように膨張させてしまいます。彼女は天井まで浮かび上がり、開いていたドアから庭へと漂い出ていきました。 この事件の後、魔法省うっかり魔法逆転課が派遣され、彼女を元の姿に戻し、関連する記憶をすべて消去しました。コーネリウス・ファッジによれば、彼女はこの事件について何も覚えていません。

  • 外貌: マージは弟のバーノンに酷似しており、大柄でがっしりとした体格をしています。顔は赤紫色で、首がほとんどなく、うっすらと口ひげを生やしています。
  • 性格: 彼女の性格は非常に不快で、意地悪かつ独善的です。血統や躾に異様なこだわりを持ち、人間よりも自分の飼うブルドッグを優遇します。彼女はブランデーを嗜み、しばしば酔っ払っては、ハリーのような「普通」でないと見なす存在への偏見を露わにします。彼女はダドリーを甘やかす一方で、ハリーに対しては一貫して残酷な態度をとり、彼の存在そのものを汚点と見なしていました。

マージ・ダーズリーはマグルであり、いかなる魔法能力も持っていません。彼女が体験した魔法現象(体を膨張させられる)は、すべてハリー・ポッターが怒りによって引き起こした暴発魔法によるものです。

  • リッパー (Ripper): マージが飼っている年老いたブルドッグ。彼女はこの犬を溺愛しており、どこへ行くにも連れて行きます。リッパーは飼い主に似て気性が荒く、ハリーの足に噛みつこうとしました。
  • バーノン・ダーズリー: 彼女の弟。二人は非常に似た性格と価値観を共有しており、マージは弟を誇りに思っています。
  • ペチュニア・ダーズリー: 義理の妹。マージはペチュニアの家事能力を評価しているようですが、基本的には弟の付属品と見なしている節があります。
  • ダドリー・ダーズリー: 甥。彼女はダドリーを溺愛し、高価なプレゼントを頻繁に与えています。彼女にとってダドリーは「健全な血統」の象徴です。
  • ハリー・ポッター: 彼女の最大の軽蔑の対象。マージはハリーを、まともでない両親から生まれた矯正不可能な不良少年だと信じ込んでおり、彼の存在がダーズリー家の汚点であると考えていました。

「マージョリー (Marjorie)」は伝統的なイギリスの女性名です。その愛称である「マージ (Marge)」は、彼女の大きな体格を暗示する英語の俗語「large Marge(大きなマージ)」を連想させる可能性があります。これは、作者が彼女の不快な身体的特徴を名前で示唆した意図的な選択かもしれません。

  • 映画『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』では、女優のパム・フェリスがマージ・ダーズリーを演じました。
  • 映画版では、彼女が膨らんで空に浮かんでいくシーンがより視覚的に、そしてコミカルに描かれています。原作では庭に漂い出ただけですが、映画ではロンドンの夜空を漂流する様子が描かれました。(映画設定)