福霊薬
基本情報
- タイプ (Type): 魔薬
- 製造者 (Maker): 不明(ホラス・スラグホーンは作中で調合したことが知られている)
記述と外観
福霊薬は、溶かした黄金のような色をした液体です。ホラス・スラグホーン教授が教壇で見せた際には、大鍋の中でその表面から金魚のように滴が飛び跳ねていましたが、一滴も外にはこぼれませんでした。その輝きは非常に鮮やかで、見る者を魅了します。
魔法特性と用途
福霊薬は、服用した者に一定時間、幸運をもたらす非常に強力で珍しい魔薬です。一般的に「幸運の液体 (Liquid Luck)」というあだ名で知られています。
- 主な効果: 服用者は、自身の試みがすべて成功するように感じ、あらゆる機会に満ちているという強い高揚感と自信を得ます。この魔薬は、単に偶然を操るだけでなく、服用者の直感を鋭敏にし、無意識のうちに最も有利な行動を選択させることで幸運な結果へと導きます。
- 副作用と危険性: 過剰に摂取すると、めまい、無謀さ、そして危険なほどの自信過剰を引き起こします。また、大量に摂取すると非常に強い毒性を持ちます。
- 調合の難易度: 調合は極めて難しく、完成までに6ヶ月を要します。レシピは複雑で、手順を一つでも間違えると悲惨な結果を招くとされています。
- 使用制限: その強力な効果のため、クィディッチのような競技試合、O.W.L.試験などの公式試験、選挙などでの使用は固く禁じられています。
歴史
ホラス・スラグホーンは、自身の人生で2度、福霊薬を使用したと語っています。1度目は24歳の時で、「完璧な一日」を過ごすことができたと述べています。2度目は57歳の時で、魔法省での望んだ役職に就くために使用したとのことです。 彼はホグワーツ魔法魔術学校に魔法薬の教授として復帰した際、最初の授業で最も優れた「生ける屍の水薬」を調合した生徒への褒美として、小瓶一杯の福霊薬を提供しました。
在故事中的作用
福霊薬は、『ハリー・ポッターと謎のプリンス』の物語において、いくつかの重要な局面で決定的な役割を果たしました。
- 天文塔の戦い: アルバス・ダンブルドアと共に分霊箱を探しに行く前、ハリーは残りの福霊薬をロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャー、ジニー・ウィーズリーに分け与えました。その夜、死喰い人がホグワーツに侵入し、「天文塔の戦い」が勃発しましたが、3人は福霊薬の幸運のおかげで、数々の危険な呪文を奇跡的に避け、誰一人として深刻な傷を負うことなく生き延びました。
幕後信息
- 名前の語源: “Felix Felicis” はラテン語に由来します。“Felix” は「幸運な」「幸福な」を意味し、“Felicis” はその属格(所有格)です。直訳すると「幸運の幸運」となり、その強力な効果を強調しています。
- 発明者: 原作小説では発明者は明記されていませんが、ゲーム『ワンダーブック:ブックオブポーションズ』では、16世紀の魔薬作り、ジグムント・バッジ (Zygmunt Budge) が発明したとされています。(ゲーム『ワンダーブック:ブックオブポーションズ』の設定)