石にされた人々
概要
「石にされた人々」とは、ハリー・ポッターと秘密の部屋の物語の中で、サラザール・スリザリンの蛇怪の視線を間接的に見たことによって石化(Petrification)という魔法的な麻痺状態に陥ったホグワーツ魔法魔術学校の住人たちを指す。この一連の襲撃事件は、1992年から1993年にかけての学校年度における中心的な謎であり、ホグワーツ全体を恐怖に陥れた。
原因
石化の直接的な原因は、蛇怪(バジリスク)の強力な魔力を持つ眼を間接的に見ることである。蛇怪の視線を直接見た者は即死するが、鏡や水たまりへの反射、カメラのレンズ、あるいは幽霊の体を通して見た場合、その致死的な力は弱まり、被害者は死に至らず石のように硬直した仮死状態に陥る。 物語で被害者を出した蛇怪は、秘密の部屋に潜んでいたもので、トム・マールヴォロ・リドルの分霊箱であるリドルの日記に操られたジニー・ウィーズリーによって解放された。
被害者一覧
作中で石化させられた人物および生物は、以下の通りである。
- ジャスティン・フィンチ‐フレッチリー (Justin Finch-Fletchley): マグル生まれのハッフルパフ生。彼が見たとき、蛇怪の姿はほとんど首無しニックの半透明の体を透かしていたため、石化で済んだ。
- ほとんど首無しニック (Nearly Headless Nick): グリフィンドール寮の陽気な幽霊。すでに死亡しているため再び死ぬことはできず、代わりに全身が黒ずんで動かない状態になった。ジャスティン・フィンチ‐フレッチリーと共に襲われた。
- ハーマイオニー・グレンジャー (Hermione Granger): ハリー・ポッターの親友。秘密の部屋の怪物の正体を突き止め、角を曲がる際には常に手鏡で周囲を確認していた。その手鏡に蛇怪の姿が映ったため石化したが、彼女が固く握りしめていた本の一葉が、事件解決の決定的な手がかりとなった。
- ペネロピー・クリアウォーター (Penelope Clearwater): レイブンクロー寮の監督生。ハーマイオニー・グレンジャーと共に図書館から戻る途中で襲撃された。ハーマイオニーが持っていた手鏡を一緒に覗き込んでいたため、同様に石化させられた。
治療法
石化の唯一の治療法は、完全に成熟したマンドラゴラ(マンドレイク)を主成分とするマンドラゴラ回復薬 (Mandrake Restorative Draught) を服用することである。ポモーナ・スプラウト先生が薬草学の授業で育てていたマンドラゴラが学年末に成熟し、マダム・ポンフリーによって回復薬が調合された。その結果、すべての被害者は後遺症もなく完全に回復した。
物語における役割
一連の石化事件は、ハリー・ポッターと秘密の部屋の物語において極めて重要な役割を果たしている。
- 謎解きの鍵: ハーマイオニー・グレンジャーの石化は悲劇であったが、彼女が残した「蛇怪」に関するメモが、ハリーとロン・ウィーズリーに怪物の正体と秘密の部屋への入り口を見つけるための決定的なヒントを与えた。