レイブンクローの塔

レイブンクローの塔

レイブンクローの塔は、ホグワーツ城の西側に位置する、レイブンクロー寮の生徒たちのための寮です。創設者であるロウェナ・レイブンクローの理念を反映し、知性や学習意欲を最も重視する場所として設計されています。 塔の入口は、一番高い螺旋階段を上った先にあります。そこには取っ手も鍵穴もない滑らかな木の扉があり、中央には鷲の形をしたブロンズ製のドアノッカーが取り付けられています。このドアノッカーは、塔に入ろうとする者に対して哲学的ななぞなぞを出題します。正解を答えられた者だけが中に入ることができ、答えられない場合は、他の誰かが正解するまで待たなければなりません。この仕組みは、寮生が常に知的な挑戦に晒され、学び続けることを奨励するためのものです。 塔の内部にあるレイブンクローの談話室は、広々とした円形の部屋です。優雅なアーチ状の窓からは、禁じられた森クィディッチ競技場、薬草学の温室など、城の敷地を一望できる壮大な景色が広がっています。天井は星空が描かれたドーム状になっており、部屋全体はレイブンクローのシンボルカラーである青とブロンズで装飾されています。部屋の壁龕には、ロウェナ・レイブンクローの姿を模した美しい白大理石の像が置かれています。談話室からは、男女それぞれの寝室へと続く扉があります。 作中で具体的に描写されたのは女子寮のみで、ルナ・ラブグッドの寝室には天蓋付きのベッドが5つあり、天井には彼女自身が描いたハリー・ポッターロン・ウィーズリーハーマイオニー・グレンジャージニー・ウィーズリーネビル・ロングボトムの肖像画がありました。

レイブンクローの塔は、物語の大部分において背景的な存在でしたが、『ハリー・ポッターと死の秘宝』で極めて重要な舞台となります。 ヴォルデモート卿分霊箱の一つであるロウェナ・レイブンクローの髪飾りを探すため、ハリー・ポッタールナ・ラブグッドの助けを借りてレイブンクローの談話室へ侵入します。この際、ドアノッカーは「不死鳥が先か、炎が先か?」というなぞなぞを出し、ルナが「円に始まりはない」と答えて扉を開けました。 談話室内部で、二人は死喰い人であるアレクト・カローと遭遇します。アレクトが闇の印でヴォルデモート卿を呼ぼうとしたため、ルナが彼女を失神呪文で気絶させました。直後に現れたアミカス・カローは、ミネルバ・マクゴナガル教授と対峙し、彼女を侮辱したため、激怒したハリーは初めて許されざる呪文の一つである磔の呪いを使用しました。 この一連の出来事の後、ハリーはレイブンクローのゴーストである灰色のレディ (ヘレナ・レイブンクロー) から、髪飾りが談話室にはなく、必要の部屋に隠されているという決定的な情報を得ました。このように、レイブンクローの塔はホグワーツの戦いの直前に、重要な情報が明かされる緊迫した対決の場となりました。

  • 映画版との相違点: 映画『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』では、塔の入口がなぞなぞではなくパスワードで開かれるように変更されています。また、ドアノッカーは原作の「鷲」ではなく「カラス」として描かれています。これは原作の設定からの大きな変更点です。(映画版の設定)
  • Pottermore: かつての公式サイトPottermore (現在のWizarding World) のレイブンクロー寮歓迎レターでは、談話室の知的な雰囲気や、なぞなぞの仕組みについてより詳細な描写が追加されていました。(Pottermore)