グリンゴッツ魔法銀行
基本情報
描写と歴史
グリンゴッツ魔法銀行は、ダイアゴン横丁にそびえ立つ、雪のように白い大理石の壮麗な建物です。入口には真紅と金色の制服をまとったゴブリンの守衛が立つ青銅の扉があり、その奥には第二の銀の扉が待ち構えています。この銀の扉には、侵入者や盗人に対して貪欲の罪とその報いを警告する以下の詩が刻まれています。 心せよ、見知らぬ者よ、貪欲の罪の報いは大きいぞ 稼がぬものを手にいれる者、最も高き代償を支払うものなり されば、もし、階下の宝を盗まんとせし者あらば 汝、警告を受く。宝ならぬものを見出すであろう 内部は広大な大理石のホールとなっており、高い天井の下で数多くのゴブリンたちが帳簿をつけたり、金貨を天秤で測ったりと、銀行業務に勤しんでいます。 銀行の本体は、このホールの地下深くに広がっています。顧客はゴブリンが運転する魔法のカートに乗り、曲がりくねった複雑な通路を猛スピードで駆け抜けて、自身の金庫へと向かいます。金庫は鍵の種類や警備の厳重さによってランクが分かれており、最も重要なものを保管する最高警備の金庫は、ドラゴンによって守られています。 歴史的には1474年にゴブリンのグリンゴットによって設立されたとされています。ゴブリンたちは銀行の絶対的な支配権を主張しており、魔法界の歴史において、魔法省が一時的に管理下に置いたこともありましたが、最終的にはゴブリンの手に戻りました。
物語における役割
グリンゴッツは物語を通じて、魔法界の経済と安全の象徴として、また数々の重要な出来事の舞台として機能します。
- ハリー・ポッターと賢者の石: ハリー・ポッターが初めて魔法界に足を踏み入れた際、自身の金庫 (687番) に両親が遺した莫大な財産があることを知ります。同時に、ルビウス・ハグリッドがアルバス・ダンブルドアの依頼で713番金庫から賢者の石を回収しました。後にクィリナス・クィレルがこの金庫に侵入を試みますが、既に空でした。この事件は、グリンゴッツの警備が絶対ではないことを初めて示唆しました。
- ハリー・ポッターと謎のプリンス: 第二次魔法戦争の勃発を受け、グリンゴッツの警備はさらに強化されました。正直探知機を持った警備員が配置され、顧客は厳しくチェックされるようになります。この時期、ビル・ウィーズリーはグリンゴッツの「呪い破り」としてエジプトで勤務していました。
- ハリー・ポッターと死の秘宝: 物語のクライマックスにおいて、ハリー、ロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャーの三人は、ヴォルデモート卿の分霊箱の一つであるヘルガ・ハッフルパフのカップを盗み出すため、銀行への侵入という前代未聞の計画を実行します。彼らはゴブリンのグリップフックの協力を得て、ベラトリックス・レストレンジ家の金庫に忍び込みます。グリフィンドールの剣を巡るグリップフックの裏切りに遭いながらも、三人は金庫を守っていたドラゴンの背に乗って脱出に成功しました。この侵入事件は、魔法界に大きな衝撃を与えました。
既知の区域
- 入口とロビー (Entrance and Lobby): 銀行の地上部分。青銅と銀の二重扉、警告の詩、そして広大な大理石のホールで構成される。
- 地下金庫 (Underground Vaults): 魔法のカートで移動する、地下深くに広がる金庫網。
- レストレンジ家の金庫 (Lestrange Vault): 最高警備の金庫の一つで、ヘルガ・ハッフルパフのカップが隠されていた。内部にはジェミニーの呪い (Gemino Curse) と「スコージファイの呪い」 (Scouring Charm) がかけられ、さらに道中には「盗人の没落」 (Thief's Downfall) と呼ばれる魔法の滝がある。
幕後情報
- 映画版『ハリー・ポッターと賢者の石』におけるグリンゴッツのロビーのシーンは、ロンドンに実在するオーストラリア・高等弁務官事務所(オーストラリア・ハウス)で撮影されました。(映画設定)
- Pottermoreによると、最高レベルの金庫はスフィンクスによって守られている場合もあるとされています。(Pottermore)
- 銀行の名前「Gringotts」は、「ingots」(インゴット、金属塊)という単語と、貪欲さを連想させる「grin」(にやりと笑う)や「grind」(すり潰す)を組み合わせた造語である可能性があります。