ハリー・ポッターとアズカバンの囚人

* 著者 (Author): J・K・ローリング * 原題 (Original Title): Harry Potter and the Prisoner of Azkaban * ジャンル (Genre): ファンタジー小説 * シリーズ (Series): ハリー・ポッターシリーズ第3巻 * 発表年 (Publication Year): 1999年 (英国)

ハリー・ポッターホグワーツ魔法魔術学校での3年目を描く物語。夏休み中、ハリーは意地悪なマージおばさんを魔法で膨らませてしまい、ダーズリー家を飛び出す。夜の騎士バスに拾われ、漏れ鍋で夏休みの残りを過ごすことになる。そこでハリーは、ヴォルデモート卿の忠実な部下とされ、魔法使いの牢獄アズカバンから脱獄した凶悪犯シリウス・ブラックが自分を追っているという不穏な噂を耳にする。 新学期が始まると、アズカバンの看守であるディメンターホグワーツの警備にあたることになった。ディメンターは幸福な感情を吸い尽くす恐ろしい存在であり、両親が殺された時の記憶を持つハリーは特に強い影響を受けてしまう。新しい「闇の魔術に対する防衛術」の教師、リーマス・ルーピンは、ディメンターから身を守るための高度な呪文「守護霊の呪文」をハリーに教える。 一方、「魔法生物飼育学」の新しい教授となったルビウス・ハグリッドの最初の授業で、ドラコ・マルフォイヒッポグリフのバックビークを挑発して傷つけられる事件が発生。この事件により、バックビークは魔法省から死刑を宣告されてしまう。 物語のクライマックスで、ハリー、ロン・ウィーズリーハーマイオニー・グレンジャーは、ブラックが両親を裏切った犯人ではないことを知る。真の裏切り者は、長年ロンのペットのネズミ「スキャバーズ」に姿を変えていたピーター・ペティグリューだった。ルーピン先生が狼人間であること、そしてシリウス、ルーピン、ペティグリュー、そしてハリーの父ジェームズ・ポッターがかつて親友同士であったという過去の真実が次々と明らかになる。 ディメンターに魂を吸われそうになったハリーとシリウスは、未来から逆転時計を使ってやってきたハリー自身の強力な守護霊によって救われる。最終的にハリーとハーマイオニーは、逆転時計を使い、シリウス・ブラックとバックビークという二つの無実の命を救うことに成功する。シリウスはハリーの名付け親であることが判明し、彼は再び追われる身として姿を消すが、ハリーとの間に確かな絆が結ばれる。

この巻では、物語の根幹に関わる多くの重要なキャラクター、場所、魔法が初めて登場する。

  • 作者のコメント: J・K・ローリングはインタビューで、本作の執筆が非常に楽しかったこと、そしてシリーズの中でも特にお気に入りの一冊であることを語っている (J.K. Rowling's Official Website)。
  • ヴォルデモートの不在: 本作はハリー・ポッターシリーズ全7巻の中で、ヴォルデモート卿自身が肉体的な形で登場しない唯一の作品である。しかし、彼の過去の行動が物語全体に影を落としている。
  • 映画版との相違点: アルフォンソ・キュアロン監督による映画版は、原作よりもダークで芸術的な作風で高い評価を得た。大きな変更点として、ファイアボルトがクリスマスではなく物語の最後にシリウスからの贈り物として届く点や、忍びの地図の入手経緯が簡略化されている点などが挙げられる(映画設定)。